ビジネス

2019.08.01

稀代の経営者たちに見る「Think Big」の力


ミツフジのウェアラブルIoTサービス「hamon」は生体データを連続して取得できる。これは類のないことで、それにより「人間の行動はほぼ分析できるようになり、行動を予測できるようになるでしょう。未来予測になり、ビジネスのインフラになります」と言う。人間の寿命がわかれば、人生設計も変わる。死から逆算して生きるというのは、社会そのものが変わることになる。

しかし、壮大な話を従業員が信じるのかという話になったとき、三寺は松下幸之助の話をした。彼は松下電器(現パナソニック)出身である。曰く、洗濯機工場を建設して、まだ普及していない洗濯機を世に送り出すとき、世間もマスコミも「家事に機械はいらない」と冷笑した。

だが、松下幸之助は従業員に対して、「洗濯機によって女性の社会進出が可能になり、女性の生き方が変わる」と語った。誰もが想像したことのないことで、常に「社会は繁栄する」と言い切っていた幸之助らしい「Think Big」のエピソードである。 

思えば、松下幸之助に限らず、戦後の日本を支えてきた経営者の多くは、Think Bigであったように思う。また、日本電産の創業者、永守重信もThink Bigの経営者で、M&Aで52社を買収してすべて黒字化に成功した理由を聞くと、「20年先を見据えて、パズルのピースを埋めているからで、シナジーを自分の方法で作り出している」と答えている(2017年8月号)。

先が見えにくいいまの時代だからこそThink Bigが必要なのかもしれない。

昨年、本誌の起業家ランキングで1位になった岡田は、授賞式でこう語った。


アストロスケールの岡田光信(写真=小田駿一)

「2050年の世界の姿は2パターンしかありません。一つは持続可能な社会。二つ目は持続不可能な社会です。(世界が)100億総不幸社会になる暗い数字はたくさんあります。(中略)我がこととして、言い訳せず、変えていくしかないと思っています。ぜひそれを皆さんとやっていこうじゃないかって、そう思うんです」

文=藤吉雅春

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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