ビジネス

2019.07.31

資生堂のレイCGO、初の定額サービスとイノベーションを語る

資生堂でチーフ・グロース・オフィサー(CGO)を務めるマーク・レイ(資生堂アメリカズ社長兼CEO)(Photo by Slaven Vlasic/Getty Images for Financo)


──スキンケア・美容関連の大手企業が現在直面している大きな課題は何でしょう?

機敏さや適応力が求められるものが最大の課題。この業界は非常にダイナミックで、参入障壁がほとんどなく、常に多くの新参者がいます。それにより、市場に対する消費者の見方が変わると同時に、市場に多くのダイナミズムが生まれます。

実店舗分野は大きく落ち込んでいます。デジタルネイティブのブランドが数多く存在しており、顧客忠誠心の追求方法を変えなければなりません。また、AIやカスタマイゼーションなど、取り入れるべき新たなテクノロジーもあります。

──そういった変化から何を学びましたか?

最大の変化は、従来のモノローグ(独白)型マーケティングから、口コミやインフルエンサーが重要な会話型マーケティングへの変化です。もはや対話(ダイアローグ)ですらなく、会話(カンバセーション)となっています。

透明性に対する需要は、弊社の強みを生かすことになりました。資生堂はここ3年連続で、世界のどの化粧品会社よりも多くの科学賞を受賞しているからです。過去の功績は私たちの誇りの源となっていますが、最近の消費者は、企業が今何をしているかをより気にかけています。2秒ごとに自らを改革しなければなりません。

私たちはルールとして、あらゆるサイズを試しています。私たちは、比較的小さいサイズのものをたくさんブランドに組み込む傾向にあります。そうすれば、消費者が十分な期間にわたって商品を試し、違いを実際に確認した上で、より大きなサイズに移れるからです。さらに、それに役立つサブスクリプションボックスも用意しました。また、顔の上で商品の効果を見たいという需要もあります。

──レイCGOの役割は、テクノロジーとイノベーションです。147年の歴史を持つ会社を成長させるのに、これらをどう利用していますか?

私たちは、テクノロジーを診断などに使用し、自分の肌のタイプや、毛穴の大きさを理解できるようにしたり、口紅がどう見えるかを示したりしています。携帯電話の写真や動画を使うこともできます。これらは、消費者との親密さを構築する機会となっています。

私たちは最近、S/Parkと呼ばれるグローバル・イノベーション・センター(GIC)を開所しました。研究開発を大変重視した大きな投資で、私たちは研究開発をさらに発展させるつもりです。消費者は研究員と直接関わることができます。

S/Parkは、自社ブランドに対するよりホリスティック(全体的)なアプローチを生み出しています。科学的に考案されたメニューを提供するカフェや、ヨガやランニングのスタジオ、カスタム化粧品の製造所があるため、人々は「Beauty Bar」を予約し、パーソナライズ化粧品を持ち帰ることができます。
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編集=遠藤宗生

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