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資生堂でチーフ・グロース・オフィサー(CGO)を務めるマーク・レイ(資生堂アメリカズ社長兼CEO)(Photo by Slaven Vlasic/Getty Images for Financo)

資生堂は今月、同社初のサブスクリプション(定額制料金)型サービス「オプチューン」を開始した。同サービスは、専用アプリを使い、月額1万円で日本国内の消費者に向け、個々人に合わせたハイテクスキンケアを提供するもの。拡張現実(AR)と人工知能(AI)を美容液抽出マシンと組み合わせた、美容業界でもまだ数少ない「モノのインターネット(IoT)」システムのひとつだ。

抽出されるケアの種類は8万通りの組み合わせがある。アプリはiPhoneに対応し、端末の内蔵カメラで撮った顔のデータ収集に使われる。データは、その日の肌の状態や環境を考慮しつつ、AIによって分析される。分析結果に基づき、カートリッジ付きマシンがその人にとって最適な組み合わせの美容液を1日に2回選ぶ仕組みだ。

147年の歴史を持つ資生堂はこの3カ月前、「S/Park」とも呼ばれる新たな研究開発(R&D)施設「グローバル・イノベーション・センター(GIC)」を横浜に設立したばかりだ。同施設の独特な点は、1階と2階が消費者に公開され、研究員と客との交流を奨励していることにある。施設内には、自分の顔がどのように老化していくかを見ることができるテクノロジーも用意されている。

資生堂は1872年に洋風調剤薬局として誕生し、1923年に同社初の日焼け止め「ウビオリン」を発売するなど、スキンケア開発のパイオニアであり続けてきた。ローラメルシエやベアミネラルなどの買収により、現在の製品ラインには美容業界のトップブランドが含まれている。

しかし、現在のイノベーションの推進力となっているのは、資生堂自身によるR&Dと、ここ数年で実施したスタートアップ企業の買収だ。資生堂は、パーソナライゼーション技術のスタートアップ企業マッチコー(MATCHCo)や、AI美容企業ギアラン(Giaran)を買収したほか、昨年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)の著名な科学者らが創設した米ベンチャー企業オリボ(Olivo)の製品「セカンドスキン(Second Skin)」事業も買収した。

資生堂は、AIやARの活用、科学者が率いるスタートアップの買収、本格的な顧客体験の導入により、破壊的企業や直販ブランドの参入で混戦状態となる市場でも存在意義を保ってきた。

私は、資生堂でチーフ・グロース・オフィサー(CGO)を務めるマーク・レイに、イノベーションに対する同社のアプローチと美容業界のスタートアップに対するアドバイスを聞いた。

編集=遠藤宗生

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