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トランプ政権は誕生直後から、幹部の入れ替わりが目まぐるしい。「サタデー・ナイト・ライブ」では、幹部らを著名な俳優が物まねすることで、幹部が一般に認識されることがあるとオーウェン氏はみる。同番組では、トランプ氏のロシア疑惑を捜査したモラー特別検察官役として、名優ロバート・デニーロ氏が出演し、話題になった。

また、オーウェン氏は、大学の講義で、わかりにくい選挙運動への資金援助の実態、とくに政治資金管理団体であるスーパーPAC(Political Action Committee)について、コルベア氏の番組を使って説明したことがあるという。

トランプ氏はしばしばメディアを「フェイク・ニュース」と攻撃するが、こうした娯楽番組も気に召さないようだ。

放送の政治的公平性? 「イコールタイム・ルール」とは

2016年11月、大統領選当選の直後、トランプ氏は「サタデー・ナイト・ライブ」を見て「完全に一方的で偏ったショーだ。全く面白くない。イコールタイムを与えられるべきなのでは?」とツイートをした。これに対し、トランプ役のボールドウィン氏は「選挙は終わったんだから、もうイコールタイムなんてないよ」と応じた。2017年10月には深夜番組ホストの「反トランプ」の発言を批判し、「イコールタイム」に関して、同様なツイートを繰り返した。

「イコールタイム・ルール」とは、放送事業者が公職選挙のすべての候補者を平等に扱うよう定めたルールを指す。1934年通信法の規定に基づくものである。

トランプ氏は「イコールタイム」という言葉を用いて、テレビ局が政治的に公平でないと言いたかったのだろう。だが、ボールドウィン氏も指摘したように「イコールタイム」は選挙期間中のルールだし、ボールドウィン氏は俳優であって、候補者本人でもないので「イコールタイム・ルール」には当てはまらない。

「放送の政治的公平性」については、実は「フェアネス・ドクトリン」といわれる連邦通信委員会(FCC)の規定がかつて存在したが、1987年に廃止されている。1949年に制定されたこの指針のもとで、放送事業者は、公共的に重要性があり、論議の的となっている問題について、「公平」に報道する、つまり相反する視点を表現しなければならなかった。またそこから派生したルールとして、公共の問題にかかわる個人が攻撃をされた場合、反論する機会を与えなければならないというものもあった。

トランプ氏は「イコールタイム・ルール」と、すでに廃止されている「フェアネス・ドクトリン」を混同していた可能性はある。

日本には、この「フェアネス・ドクトリン」に似た放送法4条が今も残っており、放送局に対して「政治的な公平性」「多様な視点の確保」を求めている(フェアネス・ドクトリンの廃止の影響やイコールタイムについての詳細については、前嶋和弘・山脇岳志・津山恵子編著『現代アメリカ政治とメディア』参照)。

構成=石井節子

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