チャーミングケアで広げる家族の視点


上記で紹介した2つの取り組みに共通するものは、「当事者への寄り添う気持ち」だ。とはいえ、
このような取り組みは、日本ではまだまだごく一部の病院施設でしか行われていない。


前述のアンケートで、海外での入院経験のある方からは、以下のような意見が得られた。

・海外での子供の入院に際して、授乳中の母親に対する病院側からの食事提供がありました。母親へのミールサービスがあって、メニューを見て電話でオーダーするとカフェテリアスタッフが部屋に届けてくれます。1日に何度オーダーしてもよく、食事代の請求はされません。近隣住民、学生、そして企業、レストランなどからボランティアとして食事を作りに来たり持参したりして提供してくれました。メニューは、パンケーキやタコス、その国の伝統料理など様々。各部屋にキッチンがあって、自分で作ることもできました。

また、アンケートで多く寄せられた要望は以下のようなものだ。

・有料でいいから、付き添い用にも食事の手配をしてもらいたい

・子どもが気になるので、病室での飲食を認めて欲しい


・妊婦時の付き添いでは、つきそう母親側の体調管理も大切なのだけれど、病院の規則が優先で、食事の環境も他と変わらなかったのが辛かった。

妊娠している状況で、子どもの付き添いをするという方も保護者の方の中にも少ないながら一定数いる。

日常生活では、妊婦さんには優先座席があるし、妊婦マークをつけて極力負担のかからないよう社会全体でサポートしている。しかし、子どもの入院付き添いをしなければならない環境では、大きなお腹で子どもの世話をし、本来であれば栄養に気をつけるべき食事の状況も、ひいては睡眠の状況も他の保護者と変わらなかったという。

何か救済する措置はないのかと思わずにはいられなかった。

入院付き添いの食事の問題がなかなか表面化しない要因の一つとして、入院は一時的なもので、かつ当事者である保護者自身にも「子どもの看護は保護者がするのが当たり前」という感覚があるからだろう。

そして、病院付き添いが、そもそも非日常で日常のそれとは全く違った概念のもとで、日々過ごすのが当たり前になっているからではなかろうか?

きっとそれは、当たり前のようにこなそうとする保護者の努力、そして我慢や犠牲の上に成り立っているものだ。

誰がどう支援すれば少しでも課題の緩和につながるのか? 今後もチャーミングケアの観点から問題提起していきたいと考えている。

文=石嶋瑞穂

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