チャーミングケアで広げる家族の視点


わたしも、約1年の入院付き添い生活で、この食事の問題に直面した。わたしの付き添いをしていた病院は、環境的には整っていた方であるとはいえ、やはりコンビニ食が毎日続く状況は「非日常」であり、なかなか慣れるものではなかった。家に残している他の家族のことなども気になり、食事を1つのルーティンとしてこなしていたような記憶がある。

入院付き添いにいろどりを求めるのはわがまま?

今考えると、子どもの入院付き添い生活になると、最愛の子どもの病気に対する不安と共に、衛生と安全を念頭に置かなければならないため、親子ともに生活に対する選択肢が極めて限られてくる。もちろん、入院生活をする上では衛生や安全が大切なことは理解しているので、慣れないながらも規律正しい生活に順応しなければならない。

しかし、付き添いが長くなるにつれ次第に余裕がなくなり、気持ちが疲弊し、全ての生活に対していろどりを感じられなくなってしまう。

もちろん生活に制限がかかることは、子どもが病気になった段階で理解はしている。しかし理解と納得は別の問題だ。例えば外出許可が出て一歩病院の外に出た瞬間、世の中には物があふれ、生活する上で数多くの選択肢があることを改めて実感する。

しかし、病院での生活に戻った途端、色とりどりだったカラフルな世界が、一気にモノトーンになってしまうような感覚に陥る。

どうにか子どもの闘病生活やわたし自身の生活に彩りを感じられる方法はないものか? それを望むのはわがままなのか?と「モヤっとした違和感」がわたしの中で蓄積されていった。


「お母さん食堂」の試み

そんな子どもの入院付き添いの事情を汲み取って、付き添いをする保護者の食事を改善しようと取り組んでいる病児支援団体がある。認定NPO法人「病気の子ども支援ネット(ガラガラドン)」が行っている「お母さん食堂」だ。

「お母さん食堂」は、代表の坂上和子さんが病院近くの事務所に病児に付き添う保護者を招いて週2回、食事の提供をしている。子どものそばを離れられない保護者には、お弁当にして病室に届けている。


「お母さん食堂」代表の坂上和子さん

坂上さんはこう語る。

「病気のお子さんが大変なことは一目瞭然なんですよ。だけど、そこに付き添う親御さんの困りごとってなかなか外から見えにくいのです。親御さんの食事が、せっぱつまった困りごとの一つだなんて、経験された方でないとなかなかわからないですね」

そう言いながら、お話を伺っている私もちょうど昼時で食事を振舞っていただいた。とても素朴な味で、まさに、「おふくろの味」だ。

文=石嶋瑞穂

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