ファッションではLVMHやケリング、時計ではリシュモンやスウォッチグループなど、ラグジュアリーコングロマリットが結成されているが、そのインテリア版が「ItalianCreationGroup」である。
傘下に収まる主要ブランドは、デザイン家具の名門「ドリアデ」、巨匠デザイナー、ジオ・ポンティが創業した照明ブランド「フォンタナアルテ」、高級キッチンの「ヴァルクッチーネ」、そして美しいバスルームをつくる「トスコクワトロ」。これらの特別な個性を持ったラグジュアリーブランドたちの舵取りを行うのが、グループのCEOを務めるジュゼッペ・ディ・ヌッチョである。
「グループ化のメリットは、大きくは2つあります。空間デザインと一体化したコントラクト事業においては、リビングからキッチン、水回りまでトータルコーディネイトの提案ができます。また一般顧客に向けては、小さなプロモーションであってもグループで行うことで効果は大きくなり、製品への興味を持ってもらえるようになる。個々のブランドのポテンシャルを相互補完するかたちでアピールできるというのは、大きな強みでしょう」
「フォンタナアルテ」は、アイコニックなオブジェ照明が得意。
フィリップ・スタルクら有名デザイナーの作品を数多く発表してきた家具の名門「ドリアデ」。
常に新たなコンセプトのバスルームを提案する「トスコクワトロ」は、ラグジュアリーとクリーンを両立させる。
なぜインテリア業界がグループ化を進めるのか? そこに業界の未来を見たからだ。
「現代のファッションブランドは巨大なグローバル企業ですが、30年前はどれも小さなファミリー企業でしたよね。イタリアのインテリア業界も、小さなファミリー企業が多く、世界の経済事情に簡単に影響を受けてしまいます。だからこそ、ブランドとしての個性は維持しつつも、グループ化することで体幹を太くする必要があるのです」
スケールメリットを生かした大企業の家具が世界を席巻している今、小さなラグジュアリーブランドのグループ化というのは“必然”なのだろう。
インテリア業界は大きく動き始めている。
ジュゼッペ・ディ・ヌッチョ◎複数の人気ファッションブランドでキャリアを積んだのちに、インテリア業界へ転身。2018年3月から、「ItalianCreationGroup」のCEOを務める。