100年続くブランドをつくる通過点としての「上場」の意義
──そういう意味では、上場についても気になります。「四方よし」が大前提だとおっしゃいました(第3話リンク)が、ここに5番目の「株主」が登場した時、社会性を毀損するような、短期的な事業性だけを見てくる人も出てくるのではないかと思います。その辺をどう考えておられますか?
私は上場ありきでは考えていません。上場するにしろしないにしろ、「100年続くようなブランドを作っていく」ことが目標です。なので上場するとしてもそれは通過点に過ぎなくて、我々の目標にとってなぜ上場が必要なのかを考えなくてはなりません。
我々のようなBtoCのビジネスモデルは、上場していなくてもある程度知名度が作れます。なので「採用のために」「知名度のために」という理由は当てはまりません。
もしそれでも上場する理由があるとしたら、2つの可能性があると考えています。
1つ目は、「ものづくり業界における希望の星」として、きちんとした社会的立ち位置から発信できること。
いま縫製以外の国内産業、例えば林業や工業なども、儲からずに縮小の一途をたどっています。そんな産業の方々にとって、「正しいことをして儲かっている人がいる」と希望の存在になることは有意義だと考えています。
2つ目は、我々のチャレンジにおいて、大きな投資が必要になったタイミングでの資金獲得手段として利用するということ。
上場のさせ方にも工夫の余地があると思っています。
例えばエルメスの上場の仕方をご存知ですか?株式発行数を非常に少なくしていますし、株主が短期的な視点で意見を言っても「自分達のやり方を貫く」ことを決めています。
「上場」って言葉だけ見るとマネーゲームのように見えますけれど、エルメスのような上場のさせ方を参考にしたり、ファクトリエの理念に共感してくださる方に株主になってもらうこともできます。そうすれば、上場をしたとしても社会的地位を示したり、きちんと我々の独自性を保ったりすることはできると思っています。
なので、私は上場に対してはすごくフラットに考えていますし、あくまで目標達成のためのひとつの手段、通過点と捉えていますね。