ビジネス

2019.07.26

100年続くブランドをつくるために上場をする「2つの理由」|ライフスタイルアクセント山田敏夫

ライフスタイルアクセントの山田敏夫

「日本の工場から、世界一流のブランドを作る」というビジョンに基づき、山田氏自らが直接足を運んで厳選した工場と顧客とを直接繋ぐファッションブランド「ファクトリエ」。同ブランドを生み出し、ものづくりのあり方を変えようとするライフスタイルアクセント代表取締役・山田敏夫氏に、社会的価値を生み出す起業についてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全6話)

正しい道を歩む勇気を持つ

──「事業と社会性のバランスを保てるか」というテーマについてはどうお考えでしょうか?

私は、事業と社会性は両立できると考えています。そのためには、事業の中に社会性を組み込むことが大切です。事業が上手くいけばいくほど、社会が良くなっていくということですから。

たとえば、アパレル会社のパタゴニアは、全てのコットン製品にオーガニックコットンを使用して社会を良くしながらも事業成長しています。

ナイキはそんなパタゴニアを真似してコットン製品のうち1%をオーガニックコットンに変えたんですね。そしたら、それだけでオーガニックコットンを使用した衣類の総生産量がパタゴニアを超えてしまった。パタゴニアが作り出した社会価値の高い流れに対して追随するプレーヤーが現れ、結果的に社会がプラスの方向に動いていった事例です。

ビジネスにおいて模倣は当然なので、社会的にいいことをすることで事業成長している企業があれば、みんな右に倣えで真似するんですよ。

我々の行動指針には「正しい道を歩む勇気を持つ」というものがありますが、それに従って道を切り開き事業成長している限り、我々を真似するプレーヤーも現れ、社会は良くなっていくと思っています。

──御社のビジネスモデルを模倣するのはなかなか難しいような気がするのですが……。

そんなことないですよ。我々が提携している工場の名前や住所は全てHP上で公開してますし。

ただひとつ言えるとすれば、人間って昔の不便さには戻れないんですよね。

これだけGoogleであらゆる情報が簡単に手に入る時代に、私のようにいちいち最寄り駅でタウンページをめくって工場の電話番号を調べて訪問するような泥臭いやり方はできないんじゃないかと思います。そういう泥臭さは我々の競合優位性になるのかもしれません。

とはいえ我々は情報をオープンにしていますし、どんどん真似をしてもらいたいと思っています。そんな真似される中でも、自分達が常に価値を作り続け、価値あるものであり続けることが大事だと思います。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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