物件の購入先で最も多かったのはフロリダ州だ。(Agnieszka Gaul / shutterstock.com)

アメリカの住宅市場が再び壁にぶつかった。全米不動産協会(NAR)のリポートから、海外バイヤーによる住宅購入が36%減と、大幅に後退したことがわかったのだ。

このデータは、海外バイヤーによる住宅購入に関する年次調査で明らかになったもので、調査によれば、中国を筆頭とする海外バイヤーが2018年4月から2019年3月の間に購入した既存物件は、総額で779億ドル(約8兆4699億円)だった。一方、その直前の12か月で購入された既存物件は、総額で1210億ドル(約13兆1560億円)だった。

市場から最も大きく撤退したのが中国人投資家だ。住宅用不動産の購入額は56%減り、概算で134億ドル(約1兆4569億円)となった。

こうした急落の背景にはさまざまな原因がある。そのひとつが、海外の経済成長の衰えだ。2018年には成長の伸びが3.6%に落ちたが、2019年には3.3%まで下がる見込みだ。また、中国政府による海外投資規制の強化や、ドル高、売り物件数の減少なども原因だと、NARチーフエコノミストで、フォーブス寄稿者のローレンス・ユン(Lawrence Yun)は話す。

「減少の規模は著しく、アメリカで不動産を所有することに対する信頼が失われていることを示唆している」とユンは述べる。

物件の購入先で最も多かったのはフロリダ州だ。カリフォルニア州、テキサス州、アリゾナ州、ノースカロライナ州、イリノイ州がそれに続いた。

不動産購入が大幅に減ったことは、アメリカの市場全体にとって悪い知らせだ。しかし、ニューヨーク株式市場に決定的な影響を与えることにはならないだろう。業界関係筋によれば、海外投資はここしばらく、市場に影響を与えていない。

不動産売買プラットフォーム「コンパス(Compass)」のブローカーで、ニューヨーク在住のレオナルド・スタインバーグ(Leonard Steinberg)は、資産家のヘッジファンドマネージャー、ケン・グリフィン(Ken Griffin)が2019年1月、マンハッタンのペントハウスを2億3800万ドルで購入して注目を集めた件や、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが、ニューヨークに3件のコンドミニアムを合計8000万ドルで手に入れた件に触れた。

「実際のところ、中国の資本家やロシアの新興実業家たちの、市場における存在は小さい」とスタインバーグは話す。「外部からやってくる最高のバイヤーは、実はアメリカ人だ。アメリカのほかの地域からやってくるバイヤーたちだ」

ニューヨークの不動産会社ウォーバーグ・リアルティ(Warburg Realty)のブローカー、スヴェトラーナ・チョイ(Svetlana Choi)によれば、海外投資家は依然としてニューヨークの不動産を購入しているが、超高級物件には手を出していないという。

「中国からの投資は続いている。だが、彼らが好んでお金を注ぎ込むのは、フラッシング(ニューヨークのクイーンズ区にある、中国人の多い地域)にあるアパート物件だ。マンハッタンにある超高額の空きアパートよりもリターンがはるかに大きい」とチョイは言う。

同じくウォーバーグ・リアルティのノエミ・ビターマン(Noemi Bitterman)は、マーケットが下降し続けているので、投資家の数が増える可能性があると指摘する。

「私に言わせれば、今こそまさに買い時だと思う。現在の価格は、適正な市場価格を反映したものだ。6か月から12か月前のような高値ではない」とビターマンは話す。「市場調整がなされ、しかるべき価格に落ち着いている」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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