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ドクター本荘の「垣根を超える力」


筆者も、第一子を迎えるにあたり、育児書を読んだり、講習会に参加したりしましたが、実戦に役に立つことはほんのわずかでした。親に何を伝えるか、現実との距離があり過ぎだと思いました。

また、赤ちゃんは個人差がありますが、平均値で言われることが多い。代表的なのが、ミルクや離乳食の量と体重の関係です。

筆者の家は夫婦ともに小食で燃費がよく、それは赤ちゃんも同じ。それなのに、「この月齢だとミルクが足りません、もっと飲ませて下さい」と言われて困りました。知人の家は、赤ちゃんが人一倍離乳食を食べますが、体重が平均より軽いので、医師から「食べさせていないのでは?」と疑われていると言います。

インプットとアウトプットについて、単純な関係でしか考えていないのです。これでは、科学を適切に理解した実践とは言えません。



共通の目的はあるか?

サイエンスとその理解と実践の、さらに背景にあるのが、組織的な課題です。筆者は、「バラバラ問題」と「ユーザー不在」の2つを感じています。

バラバラ問題とは、産科、婦人科、小児科、助産師、産後院、自治体、(ママやパパの)親など、物言う関係者が繋がっておらず、個々の論理に閉じていて、それぞれの立場で発言しているということです。

経営では、1つのゴールに向かって関与する人や組織が繋がりよく取り組むと、よい結果が得られます。逆に、それぞれ異なる方向を向いて、バラバラで繋がりなく取り組んでいると、いくら個別に頑張っても、良い結果は得られません。日本の産後環境の一部は、後者になっていないでしょうか。

筆者の場合は、「家族のハピネス」を目的に設定し、そのうえで、病院ほか専門家のアドバイスを取り入れています。赤ちゃんに最も近い母親が、方針を決め舵取りできればそれがスムーズだと思いますが、体力や精神的にそのパワーがない場合、そのうえ周りの発言者が強い場合は特に、夫がそれを代わりにする必要があるのかもしれません。

それは「ママの甘え」なのか

そして、ユーザー不在の環境です。経営では、ユーザーの体験や満足を高めることを重視します。しかし、その視点で日本の産後環境を見ると、ユーザー=母親の体験はひどいものです。むしろひどくする方向にプレッシャーがかかっている感すらあります。これでは、リピーターや新規ユーザーが増えるわけはありません。

文=本荘修二 写真=Getty Images

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