目指すは任天堂。ARコンテンツとプラットフォームで世界に挑む「Pretia」の戦略

Pretia CEOの牛尾湧


しかし、ARを活用することで、舞台設営が不要なため工事費などがかからず、現場のオペレーションもチャットサポートで対応できるので、開発費、運営費を抑え、他社の半額ほどの価格でサービスを提供できる。

また、現在は渋谷で展開していますが、ARを利用しているため、極端に言えば砂漠や田んぼのなかでもサービスを提供できる」とARならではの利点を語る。また、注目すべきはその送客率だ。ゲーム中に、渋谷のさまざまなお店をチェックポイントとしてまわるが、その際に56%ものプレイヤーがなんらかの購買行動を起こしているという。

ARクラウドでグローバル市場へ

ARコンテンツ以外に、同社が力を入れているのがARクラウドだ。ARクラウドとは、3D空間でのユーザーの位置推定、マッピング、トラッキングアルゴリズムなどを利用したモバイル機器向けの空間にデータを保存する技術。ARアプリが必要とする技術の研究、開発を進め、将来的にはこれらのツールを第三者へ提供していきたいという。つまり、Pretiaはコンテンツとプラットフォームの両方を事業としている。

牛尾は「わかりやすく言えば、任天堂のような会社を目指しています。任天堂はプラットフォームであるゲーム機の開発、販売の他、コンテンツも制作している。その自社コンテンツがプラットフォームに人を呼び込むからこそ、サードパーティもプラットフォームに参加してくれ、新しいコンテンツがどんどん生み出される。我々もARクラウドというプラットフォームとコンテンツ制作の両者で市場を牽引していきたい」と意気込みを口にする。


AR体験謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」のプレイ画像

今回の資金調達により、ARエンターテイメントのコンテンツを増やし、商業施設などでの展開も視野に入れているという。また、ARクラウドを本格的にビジネスプラットフォームにしていく考えもあるとのこと。

ARクラウドが本格化すれば、グローバル市場での戦いが待っている。Pretiaは世界中から優秀なエンジニアを採用し、社員の3分の2が外国籍、社内公用語が英語と、すでにグローバルでの戦うための準備を着々と進めている。

文・写真=本多カツヒロ

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