目指すは任天堂。ARコンテンツとプラットフォームで世界に挑む「Pretia」の戦略

Pretia CEOの牛尾湧

ARクラウド基盤・ARゲームの開発、提供に取り組むPretiaは7月25日、セガサミーホールディングス、TBSイノベーション・パートナーズ、イマジカグループのオー・エル・エム・ベンチャーズらから総額2.8億円の資金調達を実施したことを発表した。

今回調達した資金をもとに同社は、独自IPを活用したAR体験謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」を始めとするコンテンツや、ARクラウド技術の研究、開発を主要事業としている。

苦労を経て、AR市場でサービスを展開することに

CEOの牛尾湧は、学生時代に地方自治体への政策提言を事業とする会社を起業。その後、女性向けファッションメディアの運営を経て、VR市場に参入した。当初は360度動画の配信サービスで、疑似旅行体験ができる「インスタトラベル」を運営し、観光地へ送客するサービスを試みるが思うような結果を出せなかった。

そこで、VRと技術的に近いAR市場に参入。SNSでの「いいね!」疲れなどが話題になっていた時期だ。牛尾らはSNSの利用時間に本当は何がしたいかを想定ユーザー層である20~30代に繰り返しヒアリングを行った。

ヒアリングから「友だちと飲みに行きたい」「人と話したい」という回答を得た牛尾らは「人間にとって本質的に幸福なこととはリアルな繋がりなのではないか」という結論に至り、ARのリアルエンターテイメントコンテンツを開発することになった。

ARこその強みとは?

Pretiaが手がけるAR体験謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」は、2018年8月から第1弾、第2弾を今年2月から渋谷を舞台に開催している。AR体験謎解きゲームは、遊びたい日時を予約し、当日指定された場所に集合し、スマートフォンを利用し街を歩きながら謎を解く。料金は平日1290円、土日祝1990円。第1弾参加者の94%が「続編に参加したい」とアンケートに回答したという。



最近流行しているリアル脱出ゲームなどのリアルエンターテイメントとの違いについて牛尾は「ARを使わない場合、場所を借りて大掛かりな舞台を設定するため工事を行いお客さんに楽しんでもらう。そうなるとどうしてもコストがかかり、チケット代も高くなってしまう。
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文・写真=本多カツヒロ

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