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2019.07.26

名古屋発ゲームベンチャーの挑戦。ワンダープラネットはなぜヒット作を輩出できるのか?

ワンダープラネット 常川友樹


その後も資金調達を各方面から行い、それを元手にリリースした「クラッシュフィーバー」がヒットし代表作となった。アプリのセールスランキングで日本国内で最高売上8位、台湾や香港では最高1位を獲得、特に台湾・香港では、街を歩いている若者が誰しも知っているようなタイトルに成長した。海外版のリリースから3年以上が経った現在でも、毎月セールスランキング上位の常連タイトルであるそうだ。

海外展開を成功させる「渋谷のグローバルスタジオ」

ワンダープラネットは現在、名古屋本社と、東京は渋谷にオフィスを構えている。名古屋本社では主に0→1で自社タイトルを開発、渋谷オフィスでは自社および他社タイトルのグローバル展開や、他社との協業タイトルの開発を行っている。

海外でリリースしているタイトルはすべて渋谷オフィスの「グローバルスタジオ」で運営しており、外国人スタッフが現地用にカスタマイズしているのだという。最近の海外展開では、スクウェア・エニックスが提供するヴァルキリープロファイルシリーズの1つとして『VALKYRIE ANATOMIA-THE ORIGIN-』の英語版・繁体字中国語版を手掛け、英語圏を中心に評判が良く、売上にも貢献している。

「私たちはゲームを国内外に同時リリースすることはありません。まず日本でリリースして一定期間の運営をし、自信をもって世界中へ展開していけるプロダクトになっているかを確認してから、ローカライズ・カルチャライズして海外へリリースします。」(常川)

ファンが分散するスマホゲーム市場で

毎日のように新しいタイトルがリリースされる昨今のスマホゲーム市場。新規タイトルの乱立で、今ユーザーは何をやればいいのか分からなくなってしまい、結果としてファンが付きにくくなったという。これはテレビの歴史と一緒で、テレビしかメディアがなかった時代から、インターネットの登場でメディアが分散し、結果的に強いIP(intellectual property:知的財産)が作られなくなった。スマホゲームでも同じく、今は以前ほど強いタイトルが作られなくなり、結果としてファンも分散してしまったという。

「長年の開発や運営のノウハウが組織に蓄積されてきて、再現性のあるヒットが生めるようになってきました。今後も既存タイトルを丁寧に運営して手堅いヒットを続けながら、新規タイトルの大ヒットを狙うのは勿論のこと、ゲームの開発や運営のノウハウを活かした新規事業にも挑戦していきたいですね。」(常川)

文=大木一真、写真=小田駿一

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