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今につながる「迷走」

自分が普通に給料をもらって働いている姿が全然想像できなかったこともあり、研究者になろうと大学院に進学しました。ただ、一人で図書館にこもって研究していると、社会との関わりがなかなか持てないなとも感じていて。元々「一人でじっくり考えたい」という気持ちと「社会と関わって伝えたい」という気持ちの両方があるタイプだったと思うのですが、その後大学院の修士課程を終えた後に就職することに決めました。

そこからまた模索が始まるんですよね。今にもつながる「迷走」と言っても良いかもしれません。今思えば、当時は自分なりの働き方やキャリアの築き方なんて、全く描けていませんでした。

経済産業省、博報堂コンサルティング、グーグル、スマートニュースを経て今に至ります。色々と迷いながらキャリアをつくってきましたが、振り返ってみて一貫していたと思うのは、忙しく働いている日々の中にどうやって社会との接点を埋め込むか、について常に考え続けてきたことです。

実は、博報堂コンサルティングで働いていたときに、友人たちと一緒に初めて社会的な活動をしました。国政選挙のタイミングで若い世代に投票を呼びかける「I WILL VOTE」というプロジェクトを立ち上げたんですね。当時伸び始めていたフェイスブックを利用して活動を広めていたのですが、新聞の一面やテレビのニュース番組にも取り上げられて少しだけ話題になりました。こういう社会との関わり方もあるんだなと感じた自分にとっては大きな経験でした。

その後、グーグルに移るのですが、マーケティングの仕事をメインで行う傍ら「Google for Nonprofits」という非営利団体向けの支援プログラムをアメリカから日本へ導入するプロジェクトに携わりました。仕事の中でNPOの方たちと接点を持たせていただくようになった初めてのタイミングです。

スマートニュースでも同じように、マーケティングの仕事をメインでやりつつ、NPO支援のプログラムも立ち上げました。広告枠の無償提供などを通じて各団体の取り組む社会課題を伝えたり、寄付につながる仕組みづくりをしたりしていました。

その中で、営利企業の中で非営利のプログラムをどう位置づければいいのか、常に考えていました。スピード感のあるスタートアップだからこそ、「いいことだからやってもいいですよね?」だけでは済まないので、どう正当化していくのか、すごく勉強になりましたね。スマートニュースにいた頃に、リーダーシップを持って自主的に企画を作って回していくという仕事の仕方をしっかり身に付けられたと思います。

10年かけてようやく動き出した今

NPO支援の仕事を通して難民支援や子供の支援などに携わる人たちと出会っていく中で、自分がやりたいことのイメージが少しずつ、つかめてきました。

「同じ社会の中で何らかの課題を抱えた人たちの存在、そして彼らを支える活動をする人たちの存在を伝えること」。そして、「自分たちがこれからどうあるべきかを考え、発信すること」。

2017年の冬に独立して、株式会社コモンセンスを立ち上げました。大学院の時間も含めると、ここまでくるのに10年ほどかかりました。

文=松尾友喜 写真=小田駿一

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