妻の出産を機に、経営の視点で「母乳信仰」を考えてみた

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彼女は、初産にあたりいろいろとインプットを受けて、大切な赤ちゃんのためにと歯を食いしばった頑張り屋さんですが、2人目のときは方針転換をしました。母親が疲れ果てていることが、赤ちゃんにとって良いわけはありません。1人目の経験をふまえて、ベストの選択をしたわけです。

経営では、ビジョンやゴールに向かって作戦を立てます。そして、限られた資源を有効に使うため、投資効率や生産性を考えます。

また、経営ではトレードオフを考えます。一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状況では、選択肢のメリットとデメリットを考慮したうえで、意思決定することが肝要です。

プロダクトとして母乳がいいから、とにかく母乳だ、というのは、経営的にはいかがなものかと思います。母親という資源は有限であり、「楽をするな、何とかしろ」というのは賢明ではありません。母親が疲れ果てれば、赤ちゃんはじめ、家族みんなにマイナスなのです。



すると、母乳とミルクの組み合わせ、あるいは基本はミルク、という選択が良い場合もあります。ただの通り一遍の理想論だけでなく、それぞれの現実に照らし合わせて選択する。そのためには、他人が言うことに耳を傾けつつも、鵜呑みにせず盲従しないことです。

経営もビジネス書の通りに運営したら大成功するなんてことはありません。環境がそれぞれ違うし、待ったなしで実行を迫られます。一部でなく全体のバランス、そして刻一刻と変化する状況を見たうえで判断しなければなりません。

産後についても、先輩ママや経験者、専門家などのアドバイスを得て、夫や協力者と話し合ったりして、あくまでも家族のハピネスに向けて判断していけばよいと思います。

連載:ドクター本荘の「垣根を超える力」
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文=本荘修二 写真=shutterstock.com

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