妻の出産を機に、経営の視点で「母乳信仰」を考えてみた

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赤ちゃんからすると、温かな暗闇でぷかぷか浮いて楽チンだったのが、体は重いし、呼吸はしなきゃだし、飲まなきゃだし、大変なのです。苦しくて泣く。目もよく見えず、母乳の飲み方も要領を得ず、泣くしかできない。

退院後も、授乳、ゲップ、オムツ、この後に寝かせる、という1時間ほどかかる一連の作業が、日に何回も続きます。我が家の赤ちゃんは、とにかく泣いて、昼夜逆転することもしばしば。泣き叫んでいる赤ちゃんを、気がついたら2〜3時間あやし続けてということもザラにありました。

これが来る日も来る日も続くと、色々な感覚が麻痺してきます。冷静ならわかることも、わからなくなります。言うこともおかしくなる。でも、周りがそれを理解して受け止めてくれるわけでもない。これでは参ってしまいます。孤立しているとなおさら。産後うつにもなるわけです。

もちろん、赤ちゃんにも個人差があるので、すんなりいきました、というご家族もいます。筆者のところは4カ月を前に、10時間連続で寝てくれるようになりましたが、半年どころかもっとたっても2時間半ごとに授乳しなければならない赤ちゃんもいるようです。



母親が楽をするのはいけないことか?

今年になって、ようやく日本でも液体ミルクの製造・販売が始まりましたが、それに対して、「楽をするな」とか「母乳が最良」という批判もあります。しかし、いまの世の中、楽をすることのどこが悪いのでしょうか。

授乳については、適切に理解され、バランスよく指導や実行がされているか、とくに現場においてはかなり疑問に思いました。

ある女性が産後グロッキーで、助産師さんからできるだけ休むようにと指導され、夫が夜中にミルクを与えていると、その女性は彼女の母親から「あなたはおかしい。夜中でも起きて、おっぱいをあげればいいのよ」と断言されたと聞きました。母乳をはじめとして、日本では、産後の母親について、特異な厳しい空気があるようです。

もちろん、母乳に長所があるのは理解しています。しかし、粉ミルクでも立派に育った赤ちゃんも数知れずいます。それに、出産直後など、母乳の出が悪いときは、ミルクで補うのも手です。ミルクなら、母親以外の人でも赤ちゃんのケアをできるという大きなメリットもあります。

産後育児を経営の視点で考えてみた

1人目の赤ちゃんを母乳と布オムツで、2人目を粉ミルクと紙オムツで育てた友人は、「同じですよ、問題ない。ママが元気なのが大切」と言い切ります。
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文=本荘修二 写真=shutterstock.com

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