Forbes JAPAN Web編集部

青森市にあるA-FACTORYで販売されている、エーファクトリーアオモリシードルスパークリングスタンダード

今年5月、シードルの品評会「International Cider Challenge 2019」が、イギリスで開催した。品評会は、世界中のシードルが11のカテゴリーで、酒のスペシャリストらによって審査された。

今回、JR東日本グループ(現:JR東日本青森商業開発)が2010年12月に開業した、青森県の複合施設「A-FACTORY」から3種のシードルが出品され、金賞に「アオモリシードル スパークリング スタンダード」と「アオモリシードル スパークリング ドライ」が輝いた。

品評会では主に香り、口当たり、風味の3つのポイントが評価基準となっており、ICCによると日本企業で金賞を獲得したのは今回が初だ。

A-FACTORYはリンゴ王国青森のさらなる盛り上がりを目指し、開業前からジャムやジュース以外の加工品の展開を考案。海外でのリンゴを発酵させた、発泡性のあるシードル(サイダー)の人気の高さにも着目し、2010年秋頃からシードルの醸造が始まった。


A-FACTORYの外観。中はフードマルシェとレストランが併設されている

A-FACTORYでは、まずリンゴを絞り、果汁を発酵させる。そして発酵後に大きなタンクに果汁を移し、再度2〜3週間かけ発酵させていく。その後、丁寧にろ過し、すこし落ち着かせて瓶詰め、熱処理後ラベルが貼られ出荷される。ここまでの工程は全てA-FACTORY内の工房で行われている。

スタッフは全員未経験者

A-FACTORY店運営グループ工房長の中嶋孝博さんは、A-FACTORYでシードル造りに関わる前、東京で働きながら、いつか青森に帰り、地元でしか出来ない仕事をしたいと考えていた。その後帰郷し、A-FACTORY立ち上げと同時に、シードル造りに興味を持った。

当時中嶋さんは、醸造の経験が無かったため、独学と県の研究機関での技術指導を受けながら実践経験を積んでいった。中嶋さんは「お酒のことも、リンゴのことも一から学び始めましたが全て楽しかった」と当時を振り返る。

立ち上げ当時、シードル造りに携わっていたスタッフは4名。中嶋さんだけでなく、スタッフ全員がシードル造り未経験だった。しかしそれは、チームにとって良い機会になっていたという。

「いい意味で、初めから醸造全てを出来る人がいなかったので、きちんと丁寧に学べる環境がありました。新人のスタッフが入ってきても、意見はすべて聞き入れますし、アイデアがあったら遠慮なく言ってもらうようにしています」(中嶋)

もともとブランド価値がある青森のリンゴの美味しさを、いかにしてお酒で伝えるか。甘みが強い品種「ふじ」と、酸味と香りが特徴的な「ジョナゴールド」を使ったブレンドの割合は、スタッフの舌で何度も飲み比べられ、話し合われた。菌の管理や、発酵時の温度管理は特に難しく、失敗を繰り返したこともあった。


ガラス張りになっているため、気軽に工房内を見ることができる

そうして開業と同時に、ノンアルコールの「アオモリシードルアップルソーダ」、同月にはアルコールが含まれた「アオモリシードルスイート」が完成。

2011年1月には「アオモリシードル スタンダード」が販売され「造ったシードルが売れていくのを見るのは、やっぱり嬉しかった」と中嶋さんは語る。

文・写真=須貝直子

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