6歳の少女の優しさが原動力。大学生が目指した「児童買春がない社会」

NPO法人かものはしプロジェクト 村田早耶香

17年前、大学生だった村田早耶香は、子どもの性的搾取を目的とした人身売買を目の当たりにし、NPO法人かものはしプロジェクトを立ち上げた。

「最悪の状況」と言われていたカンボジアで活動を始め、職業訓練と雇用や警察官による加害者逮捕の促進を地道に推し進めた。様々な人たちの努力により、現在、カンボジアにおける児童買春の被害はほぼなくなっている。

問題の重要性を訴え続け、自らが動くことで、世界は少しずつ変えられる━━。そう信じて村田は困難な問題に挑み続けてきた。

自らの力で道を切り拓く女性たち「セルフメイドウーマン」を紹介する連載企画7月25日発売のForbes JAPAN9月号でも特集するこの企画で、今回は村田早耶香の原動力に迫る。


──「かものはしプロジェクト」を始めようと思われたきっかけはなんですか?

大学2年生のときに国際問題の授業で配られた新聞記事で、児童買春の問題を知りました。12歳から騙されて売られた売春宿で働き、20歳の若さでエイズで亡くなったタイの女の子の話が載っていました。

その子が亡くなった年齢と当時の自分が1歳しか違わなかったこともあり、この問題は他人事ではないと強く感じました。

その後、アルバイトでお金を貯め、タイとカンボジアを訪れました。より被害がひどかったのが、カンボジアでした。2003年頃のカンボジアでは、児童買春の被害者が増加しており、5、6歳といった低年齢の子もたくさん売られていたんです。

──そういった子たちは、どういった経緯で働かされてしまうのでしょうか?

多くの場合は、農村の貧困ライン以下の家庭の子が、「都会に行けば稼げる」「家族のためになる」と言われて連れてこられるんです。働く場所が売春宿だと聞かされず、騙されて来てしまう。親も騙されている場合もあります。

カンボジアでは、売春宿から保護された子どもたちが生活している施設を訪問しました。そこには、12歳と6歳の姉妹がいました。店でいくら虐待されても親を信じていた2人は、両親が自分たちを売ったという真実を聞いて絶望し、衰弱しきった状態で、施設に保護されたんです。
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構成=崎谷実穂 イラスト=Willa Gebbie

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