シネマの女は最後に微笑む

ロサンゼルスでの『Mad Money』プレミアにて(2008年1月9日)。左からカーリー・クーリ監督、クイーン・ラティファ、ケイティ・ホームズ、ダイアン・キートン(Photo by Lester Cohen/WireImage)

お金を巡るさまざまな問題が、近年これまでになくクローズアップされてきている……と実感している人は多いのではないだろうか。

昨年以来、政府と官僚に圧倒的な不信感を持たせた、いまだ解決を見ていないモリカケ問題。我々の暮らしに直に反映されるところでは、今回の参院選でもクローズアップされた年金問題と消費税。そして、手を替え品を替え、高齢者から大金をくすねる詐欺事件の多発。

金はあるところにはうなるほどあるようだが、ないところにはからきしない。ある方からない方に金が流れることはほとんどない。

世界中の富の半分以上を上位1%の超富裕層が独占している一方、先進国においては資産0の下流層が増加し、中流世帯は減少し続けている。日本も既にこうした超格差社会に突入している。この傾向が続けば、コツコツ地道に頑張ってもタカが知れている、それなら一発逆転を狙いたい、いや狙うべきだという風潮は、強まることはあってもなくなることはないだろう。

今回取り上げるのは、『デンジャラスな妻たち』(カーリー・クーリ監督、2008、日本未公開作品)。原題は『Mad Money』。3人の女性が協力して銀行からの大金横領に手を染め、周囲の男たちまで巻込んでいくさまをテンポ良く描いた傑作コメディだ。

専業主婦が、FRBの清掃員に

冒頭は、紙幣を必死でシュレッダーにかける夫、札束をボストンバッグに詰め込み塀を登って逃げる妻、というものものしいシーン。どうやら明らかにヤバい金を大量に持っていて、警察に踏み込まれる直前である。

そこからドラマは3年前に遡り、冒頭の事態に至るまでの経緯が描かれていく。

夫の突然のリストラで多額のローン返済が残り、家政婦に払う給金もなく、家を手放さざるを得ないという大ピンチに、怒りのやり場がない妻のブリジット(ダイアン・キートン)。専業主婦として生きてきて何のスキルもない彼女だが、背に腹は代えられず慣れない就活をし、やっと連邦準備銀行(FRB)の清掃員として採用される。

FRBとは日本の中央銀行に似て、お札の発行、公定歩合、公開市場操作などアメリカの金融政策を司る銀行だ。全米に12あり、各地域のすべての銀行の金がそこに集まってくる。

当然、セキュリティは厳重で、行内のさまざまな場所は壁一面のモニターで絶えず監視され、職員の出入りにはボディチェックが義務づけられている。

文=大野 左紀子

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