その「ドローン検出」分野においては、これまでイスラエルのRADA社が開発する最大3km離れたドローンを検知する技術などが評価されてきたが、今回、米韓大学の共同研究チームがそれを上回る技術を開発したと報じられている。
米・カリフォルニア州立大学の電子・コンピュータ工学科と、韓国・大邱慶北科学技術院(DGIST)の協働ロボット融合研究センターは共同で、3km以上離れた距離を飛行している超小型ドローンを識別できる、新たなレーダー技術を開発したと7月中旬に明らかにした。
研究チームは、アクティブ・フェーズドアレイ・レーダー(AESAレーダー)技術と超高解像度レーダーの信号処理技術を融合させた技術を用いるという。前者は探査距離を伸ばすことに一役買い、後者は位置を推定する精度を高めることができる技術だとされている。
なお研究チームは、「敵対的生成ネットワーク」(GANs)というディープラーニング技術を活用して、飛行するドローンの識別率を高めているという。基本的に人工知能は学習データの量が多いほど識別率が高まるが、GANsは少ないデータ量であっても学習し関連データを自ら“生成”。そのデータをさらに学んでいくことで、識別率を高めることができる。
今回開発されたレーダーシステムの内部の送信部、受信部、アンテナ、信号処理プラットフォームなどのハードウェア部品は、韓国国内の中小企業と共同開発されたものだという。
DGISTの関係者は、遠く離れている超小型ドローンを検知するシステムとしては、世界最高レベル。ドローンの検出だけでなく、船舶、航空、監視偵察などさまざまな分野に応用できるだろうとコメント発表している。
日本においては、「ドローンは2019年のトレンドのひとつになる」という大手広告代理店の予測があったが、いまのところドローン産業が大きな転機を迎えるような続報はまだない。
すでに長野県・白馬村の「ドローン配送」のように、ビジネス的にも、社会課題の解決という切り口からも現実的かつ挑戦的な実証実験が行われているが、それら取組から日本型のドローンソリューションの成果が報告されることに期待するばかりだ。
連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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