そのスタイリングはハイパーカーと呼ぶにふさわしい流麗なラインで構築され、ダイナミックさとグラマラスさが見事に調和している。ただ全体のシルエットは、フェラーリ488やブラバムBT62に似ているようにも思える。重量あるパーツを車体の中心に集めたうえで、コクピットやタイヤの配置を決め、エアロダイナミクスを突き詰めていくと、自然と同じような形状に行き着くものなのかもしれない。
とはいえ、エヴァイヤのデザインには非常に大きな特徴がある。このハイパーカーはEVなのでエンジンがない。従ってサイドに大きく口をあけた部分はエアインテークではなく、そのままリアエンドへトンネルのように気流を抜くしくみになっている。そして、その大きな出口を縁取るように、LEDのテールランプが配置されているのだ。
流麗なデザインが並外れたダウンフォースを生み出す
ロータスのデザイン・ディレクター、ラッセル・カー氏は、このトンネルについて「ル・マン24時間レースを走るレーシングカーが、走行時の気流エアフローをどのように処理しているかを車体上面や下面、さらに周囲全体にわたって解析した。そして、非常に大きなダウンフォースを発生させつつも普遍的なデザインへとそれを落とし込むことに成功した」と説明する。おそらくモチーフとなったのはLMPカーと呼ばれる耐久レース専用のプロトタイプカーと考えられるものの、トンネル部分の発想はル・マンのGTクラスで優勝もしているフォードGTにも近いかもしれない。
なお、カー氏は、このトンネルを抜けたエアーにはリアエンド下部にあるアーチ状のディフューザーからの気流を引き出す効果もあり、ボディ下面で発生するダウンフォースをさらに増大するとも述べている。