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ミラノデザインウィークでの「アルマーニ / カーザ」の展示。アルマーニ / テアトロの大空間を生かして、光のオブジェと家具、照明作品が配置された。家具のフォルムや素材の質感を、美しく引き立てる。

ジョルジオ・アルマーニが日本を訪れるたびに受けてきた「インスピレーション」。

毎年4月、イタリア・ミラノで世界最大規模のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」が開催される。今年の「アルマーニ / カーザ」の展示で並んだ家具たちが纏っていたのは、馴染み深い「日本の文化」だった。



例年「アルマーニ / カーザ」は、ミラノの市内にある巨大なブティックにて新作の展示を行ってきた。ジョルジオ・アルマーニにとって、家具は実際の生活から生まれるものであり、空間を彩る美しいオブジェとしてだけでなく、実際に使用する実用品としての側面も重視している。

そのためブティックをジョルジオ・アルマーニの邸宅に見立て、実際のコーディネイトを体感しながら、家具とその世界を楽しんでもらうのが目的だ。

しかし今年は場所を替え、ファッション系企業が多いトルトーナ地区にある、アルマーニ社の多目的ホール「アルマーニ / テアトロ」を会場とした。安藤忠雄が設計し、ファッションショーなども行う広大なスペースを使って新作展示を行ったメリットは、会場に足を踏み入れた瞬間に感じる。まるでブラックボックスのような空間に新作家具を配置し、その上にカラフルなオブジェを積層させ、ここに光を当てて幻想的な空間を演出している。

ファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニは、何よりも光の効果を大切にしており、ファッションショーでも光を巧みに扱ってきた。その信念はアルマーニ / カーザでも発揮されており、美しい照明とそこから生まれる美しい光は、家具と同じくらい大切な存在だと考えている。家具は照明と組み合わせることで、初めてその価値を表現できるのだ。


ジョルジオ・アルマーニ

今回のインスタレーションでも、理想的な光の効果を引き出すために、ジョルジオ・アルマーニは最後まで現場に立ち会い、光の角度や明るさを決めていたという。こうして入念にセッティングした幻想的な空間に並ぶ家具たちだが、今年の新作はどこか親しみやすさがある。

聞くとテーマは「EAST(東洋)」とのこと。親日派であり、20年以上前から何度も来日していたジョルジオ・アルマーニは、旅先で古い生地や畳に出合い、そこからインスピレーションを受けてきた。我々にとっては見慣れた日本の文化も、ジョルジオ・アルマーニのフィルターを通して表現されると、新たな魅力が加わるのだ。

例えば優雅なベッドに使用される繊細なジャガード織りのファブリックは、沖縄の着物の生地からインスピレーションを受けており、インテリア小物の張り地には、畳のようなテクスチャーの織物を開発して使用している。また漆技法にアレンジを加えたテーブルも登場した。

モダンデザインにおける「ジャポニズム」は、19世紀の終わりごろ、ヨーロッパに多大な影響を与えた。平面的でありながら緻密な図柄を取り入れた着物や扇子の表現力が、当時のアール・ヌーヴォーのデザイナーたちを魅了し、装飾デザインへと舵を切るきっかけになったともされる。

アルマーニ / カーザの優雅な家具たちを見ていると、現代の家具デザインの中であっても「日本の美」は美しくなじむことがわかる。それは少し誇らしいことでもある。

photograph by Mitsuya T-Max Sada edit & text by Tetsuo Shinoda

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