LGBTフレンドリーを表明する6色レインボーも、「カラフル」「6色」という条件は揃えながらも自由さをもたせています。6色のレインボーは多様性を表し、LGBTコミュニティーのシンボルとして定着しています。その虹色でものや街を作ったり、身に着けてLGBTフレンドリーを表明したりします。
最近、定番の6色ではなく、レインボーのカラフルさを生かしたスタイリッシュなデザインが話題を呼んでいます。スターバックスのタンブラーは一瞬にして完売しました。GAPは毎年カラフルでおしゃれなチャリティTシャツを発表しています。
スターバックスが東京レインボープライドで限定販売したスタイリッシュなレインボータンブラー。
ラグビーチーム『オールブラックス』のスポンサーであるAIGは、「すべての色を混ぜると黒になる」をコンセプトに、通常は黒で横に生地を引っ張るとレインボーカラーになる「UNITED BLACK Tシャツ」を発表しました。シンボルである定番の「6色」はなくなりませんが、今後もスタイリッシュなレインボーのデザインがたくさん見られることが期待できます。
多様でありながら統一感を出す考え方は、さまざまな場面で活用できるでしょう。例えばコカ・コーラ社は制服をワンポイントだけ赤にしてみてもよいかもしれません。これからの制服は、「バラバラでもいいから、これだけ赤にする!」とか、「赤が1つでも入っていればOK!」のような、遊びをもたせたものが今っぽいかもしれません。
昨今、多様性の尊重の重要性が訴えられるようになってきている一方で、人間は本来社会性の生き物なので、どこかは「つながっていたい」と思うものだったり、「揃っているもの」を美しいと感じるものだったりします。
そもそも、揃うからこそ「差分」が出てくるのです。揃えているからこそ、多様性は生まれるのです。だから、多様性の時代だからといって、ただやみくもに自由にするのではなく、「上層部分は決めて、下層部分に遊びをもたせる」、つまり「コンセプトやゴールは同じで、やり方・プロセスを選べる」といったふうに、テーマと選択肢がセットになったようなものを用意すると、受け入れられやすいでしょう。
みんなと同じなのが嬉しいけど、個性を出せる遊びや、選べる幅があるのが嬉しいのです。みんなスマホはiPhoneだけど、色やケースで違いを出したいと思うのも、同じ気持ちでしょう。
統一感をどこかに隠しながら、選べる幅をつくるのが今のトレンドであり、受け入れられやすいもの。これは、商品ラインナップのつくり方や、商品の見せ方、またイベントスペースのつくり方や、店舗開発にも役立ちそうな視点です。
電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。
阿佐見綾香◎電通Bチームダイバーシティ担当。戦略プランナーとしてマーケティングや商品開発を担当。持論は「LOVEのカタチが変わると消費が変わる」。専門はLOVEマーケティング。