ビジネス

2019.07.24

快進撃、米国アジア系マッチングアプリの「枠にとらわれない考え方」

EasMeetEast 共同創業者兼CEO 時岡真理子

EastMeetEastは現在、北米で最もアクセス数の多いアジア人向けマッチングアプリだ。中国人、フィリピン人、ベトナム人、韓国人、日本人ら会員数は17年から2年で4倍、創業(13年)以来成立したカップル数は報告ベースで12万人に達する。

アジア系住民は、アメリカで最も伸び率の高い人口層であり、マーケットの潜在性は高い。昨年4月には新たに約4億円の資金調達を発表した。ニューヨーク・タイムズスクエア近くのコワーキングスペース内にあるEastMeetEastのオフィスで20人ほどの人種多様なチームを率いるのが日本人女性起業家、時岡真理子だ。

自らの力で道を切り拓く女性たち「セルフメイドウーマン」を紹介する連載企画。7月25日発売のForbes JAPAN9月号でも特集するこの企画で、今回は時岡真理子の原動力に迫る。


──米国の他にもカナダ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏にサービスを広げておられます。

昨年から市場を拡大し、順調に伸びています。各国で実際にやってみて、市場は似ている、という印象を受けました。その国のマイノリティとして生まれ育った、幼い頃両親に連れられて来た、大学で来て以来ずっと住んでいる、など海外に来た理由は似ています。

また、親には母国語で話してほしい、食文化は同じで合ってほしい、というニーズも似ている。それが順調に成長している理由だと思います。また、私たちが強いのは動画のカルチャーコンテンツです。アジア人に人気のインフルエンサーと組んでコンテンツを制作し、各国で配信しています。全動画の再生回数は2800万回を超えています。

──アメリカという外国で起業するのは怖くなかったですか?

アメリカでビジネスする上で大変だったのは、ネットワークをゼロから作らなくてはならなかったことです。2013年のサービス開始時は、スタッフと一緒にニューヨークの街角に立ってサービスの説明をし「登録してください」とビラ配りをしたこともありました。

しかし、マッチングサービスの市場の半分はアメリカ。圧倒的です。それに、アメリカでベンチャーのビジネスをやっていて面白いのは、ユーザーの方がテクノロジーにオープンだ、ということです。新しいことに意欲的に挑戦できます。

直近の例で言えば、若い世代向けにライブ配信サービスを始めました。多人数入って楽しめるようになっていて、まずそこで友達をつくって、そこから交際に発展して結婚した、というユーザーの方もいます。ライブ配信の一日平均視聴時間が55分。フェイスブックの滞在時間が30分強なのに、驚異的な数字です。そういった新しい方法にもすぐに反応してくれるのが嬉しいですね。
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構成=岩坪文子 イラスト=Luke Waller

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