──仕事でわくわくする瞬間はどんな時ですか?
いくつかあるのですが、一つはユーザーの方に「これがなかったら、今の結婚相手に出会えなかった」と言ってもらえることです。私にとってもチームにとってもモチベーションであり、ミッションになっています。もう一つは、高いゴールを作って、マイルストーンをクリアした時です。過去5年で、成立したカップル数が12万人を超えました。
最初は街で直接頭を下げて回っていたのが、今では世の中のリレーションシップにインパクトを与えている。大きなマイルストーンの達成に「やった!」という気持ちになります。
──より難しいことにチャレンジすることを楽しんでいるように見えますが、その原点はどこにあると思いますか?
父は、貧しい家に生まれて苦労しましたが、最終的には外資系大手IT企業で役員になりました。叔父も大学からアメリカに渡り、外国人の女性と結婚し、キャリアを一から築きました。枠を作らずに、高めのハードルを設定してやっていくという家族のメンバーの中で育ったということの影響は大きいと思います。
高校までは神戸市の女子校に通っていましたが、同級生がエスカレーターで大学に進学する中、アメリカの大学に進学すべく、SAT(アメリカの大学入試に必要な試験)の勉強をしました。卒業してから日本で外資系ソフトウェア企業に就職しましたが、何十億円の会計ソフトウェアやコンサルティングサービスを売るチームで優秀な営業成績を上げても全然ワクワクがなく、世の中の役に立っている気がしませんでした。
そこで、会社を辞めて、社会起業に強いオックスフォード大学を受けよう、と思いました。そこがターニングポイントだったと思います。
父親はすべてが、努力の人でした。最近になって気づくことがあるのですが、「地頭がいい」というのが通用するのは小学校などのレベルまで。「時間をいかに割けるか」というのがすべて。起業家としても時間の使い方、つまりいかに事業に割けるようにするか、というのを考えています。
──NYのオフィスのチームは、多様ですね。ダイバーシティのチームを率いる秘訣は?
年齢、人種、どこで生まれ育ったかということは全く気にせず、とにかく能力だけを見て採用しています。約20人のうち、3分の1は女性、3分の1はLGBT+メンバーです。人種もヨーロッパ系、ヒスパニック系、アジア系とバラバラです。