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世間では、「成功者はみんな運がいい。失敗者はみんな運が悪い」と言う。たしかにそうだろうが、むしろ、「成功者はみんな、幸運に身を任せず、甘えず、悪運に翻弄されず、屈しない」という一言も、付け加えなくてはならない。これは創業経営者でも身体が弱かった人にとくに当てはまる。例えば若き松下幸之助であり、じつは、若き孫君もその一人だ。

孫君は、創業から間もなく慢性肝炎になって社長職を辞し、復帰するまで3年ほどかかったが、この間彼は、自らがめざすべき事業のあり方を徹底的に内省したと言う。 かつて私とのある雑誌上の対談で彼は、「僕の夢はソフトバンクアカデミアの校長になり、グループ企業の経営者や経営幹部を育てること」と語っていたが、じつはその発想は、若い頃からの夢だったに違いない。

孫君は、国際ビジネスの世界で他を圧するほどの威風堂々という体格の持ち主ではないし、風采だって小柄だし、とくに良いわけではないだろう。だが、大事なのはあれだけの実績を出し続けているにもかかわらず、謙虚であり続けてきたことだ。僕に「先生、先生」と素直な姿を見せてくれるのと同じように、誰に対しても謙虚で人懐こく接する。こんな姿は決して戦略的に見せているのではない。彼の本質的なキャラクターなのだ。

多くの人も、孫君と会えば彼のことをそう感じることだろう。それこそが孫君が、「幸運に甘えず、悪運に屈しない」できたことの最大の秘密と思うのだ。


孫 正義◎1957年、佐賀県生まれ。ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長。80年にカリフォルニア大学バークレー校を卒業。81年日本ソフトバンクを設立。90年にソフトバンクに商号変更、現在に至る。

文=船木春仁

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