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2019.07.22

田舎町のウォルマートに充電スタンド EV普及の起爆剤となるか

エレクトリファイ・アメリカ社のEV充電スタンド(LisaCarter / shutterstock.com)

老舗の自動車メーカーも新興ハイテク企業も、向こう数年にかけて電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車を市場に投入する予定だ。これは、一般的な乗用車やクロスオーバーSUV、あるいはピックアップトラックでも充電池式モデルが普及する未来を見越したものだ。

EV情報サイト「InsideEVs.com」によると、米国では今年5月末までにEVとプラグインハイブリッド車が合わせて11万886台販売され、2018年同時期のプラグイン車販売台数9万9226台を超えた。とはいえ、新車販売台数は全体で470万台以上とされ、プラグイン車の割合はいまだに大海の一滴でしかない。

EVへの関心を短期間で向上させ、売上増にもつながるかもしれない一つの要素として、全米34州のウォルマート駐車場に120以上の急速充電スタンドが最近設置されたことがある。これらスタンドはエレクトリファイ・アメリカ(Electrify America)社のネットワークの一部で、ほとんどはEVでの州間移動がしやすいように主要高速道路の近くに設置されており、米EV大手テスラの「スーパーチャージャー」ネットワークと似たコンセプトだ。エレクトリファイ・アメリカは、少なくとも約190キロ毎に(主要な米東西海岸の高速道路では平均で約110キロ毎に)スタンドを設置する計画だ。

EV充電スタンドはこれまで、東海岸や西海岸、そして内陸部の大都市に設置されることが多く、エレクトリファイ・アメリカの取り組みは米中西部でのEV普及を大きく後押しすることとなる。米国の地方部でのEVの売り上げはほぼゼロに近い。その大きな理由は、過去のEVモデルでは一度の充電で走れる距離が限定されていたことだ。しかし最近や今後のモデルは、1回の充電で300キロを優に超える距離を走行可能で、中には500キロを走行可能なものもある。今後、EVがより多くの人にとって実用的になるのは間違いない。

充電スタンド、特にEVバッテリーを30分ほど(ウォルマートでちょっと買い物をすればすぐにつぶれる時間だ)で80%まで充電できるDC急速充電ユニットを手軽に利用できるようになれば、走行距離の心配もなくなる。人が定期的に訪れる分かりやすい場所に充電スタンドを設置することで、これまでEVに興味を持っていなかった人の関心を引ける可能性は高い。

例えばイリノイ州シカゴ郊外ホジキンズにあるウォルマートは、SAEコンボとCHAdeMOの両コネクターを備えたエレクトリファイ・アメリカのDC急速充電ユニットを3台設置している。また、急速充電ができないプラグインハイブリッド車と旧式のEV用に、240ボルト・レベル2の充電スタンドも1台用意されている。
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編集=遠藤宗生

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