今回、同コンテストの審査員3名に「創業3年目以内の起業家がさらに成長するためには」をテーマに話を聞いた。
審査員を務めるのは、Forbes JAPANが毎年行なっている「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で1位に輝いた加藤由紀子(SBIインベストメント、2015年)、村田祐介(インキュベイトファンド、2016年)、高宮慎一(グロービス・キャピタル・パートナーズ、2018年)だ。
スタートアップ、最大のプロダクトは「チーム」である
──創業3年目以内のスタートアップがさらなる成長をするために重要なことはなんでしょうか。
インキュベイトファンド 村田:「チーム作り」ですね。創業3年目以内に、会社の基盤となる人材を集めきれるかどうか、が大事だと思います。
創業から3年以上経過すれば、チームのメンバーが増え、創業時期のメンバーがそのメンバーを支えきれるような成長ができているかどうか。5人の組織、50人の組織、100人の組織と段階に応じて、マネジメント手法を変えなければいけません。それを担える人材がチームに揃っているか。
創業3年目以内にそのチームを作り上げている会社が明らかに強いと実感しています。(「日本で最も影響力のある投資家ランキング1位」時の投資先である)ゲームウィズの場合、今泉(卓也)さんが以前の会社を失敗したのは「チーム作り」の失敗でした。
チームに企業情報の全てを公開し、意思決定もなるべく多くの人に参加してもらったことがうまくいかなくなった原因でした。だから、ゲームウィズを創業した際には、「Day1」から意思決定する人間は最小限にする方針にし、企業としての成長が見込めてきた段階で、幹部人材を社内から抜擢する人材と社外からの人材を獲得していきました。
現在の投資先で、チーム作りがうまくいっている企業は、ピクシーダストテクノロジーズ。同社が2019年5月に、融資も含めて約50億円も資金調達ができたのは、間違いなくチームが評価されたからです。創業者の落合陽一さんに注目が集まりがちですが、創業当初に彼と投資家回りをしても全く相手にされませんでした。
COOである村上(泰一郎)さん、ペプチドリームのCFOだった関根(喜之)さんが参画したことで、チームとして形になりました。CXO以外にも、テックジャイアント出身の事業開発責任者やスーパーエンジニア、国内メーカ出身の天才エンジニア、最近では、64歳のVPoE(VP of Engineering)も加入して、より多様なチームメンバーが集まり、落合さんと星(貴之)さんが創業した当初とは、全く別の会社になりました。