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2つのメッセージは、どちらも「これまで豪雨に避難勧告で避難した人は、まわりの人が避難していたから避難したという人がほとんどでした」に以下の文言が続く。

(A)あなたが避難することはみんなの命を救うことになります。
(B)あなたが避難しないと人の命を危険にさらすことになります。

従来、県が県民に対して行っていた呼びかけはこうだった。

「毎年、6月始め頃の梅雨入りから秋にかけて、梅雨前線や台風などの影響により、多くの雨が振ります。広島県でもこれまでに、山や急な斜面が崩れる土砂崩れなどの災害が発生しています。大雨がもたらす被害について知り、危険が迫った時には、正しく判断して行動できる力をつけ、災害から命を守りましょう」

A、Bはこれに比べて、シンプルに感情に訴えかけるメッセージだ。(B)はより切迫した状態で用いることが効果的と考えている。ちなみに県は6パターンのメッセージについて、年齢や性別によっては有効である可能性もあり、現時点で(A)(B)以外は公表していない。すでに広島県内では、豪雨や台風が接近する際に避難を呼びかけるメッセージとして、(A)の文言を付け加えて発信している。また自治体や報道機関が避難行動を呼び掛けるため使うことを想定している。

現在、有識者による研究チームが、県民の避難行動に関する調査結果の分析を進めており、今後の取り組みに生かしていく。


2014年8月広島県内で発生した土砂災害(Getty Images)

広島県では、2014年8月にも北部の安佐北区や安佐南区の住宅で大規模な土砂災害が発生し、77人が犠牲となった。この経験を踏まえ、2015年4月から「みんなで減災」県民総ぐるみ運動をスタートさせ、それまで以上に防災や減災に力を入れてきた。

広島県の三宅操減災対策推進担当課長は「ハード、ソフトともに対策を進め、自主防災組織や企業と行政の連携をとって『災害に強い広島県』を目指しています」と語る。だが、災害は繰り返す。

県民総ぐるみ運動では、「知る」「察知する」「行動する」「学ぶ」「備える」という5つの行動指針を設定。三宅は「まずは『知る』ことから始めていただきたい。日頃から、身の回りには山や崖、川などどんな危険があるのか知った上で、家族で避難について話し合って備え、いざという時には、自ら判断し、適切に命を守る行動をとってほしい」と訴える。

もし集中豪雨が発生したら私たちはどうしたら良いのか。明日は、水害から命を守るための方法を紹介する。

文=督あかり、須貝直子

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