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2019.07.21

画期的エンジン搭載の新マツダ3 ドイツ車と肩を並べるレベルに

新マツダ3

マツダというと、ロータリーエンジン搭載のRX-7、日本車初のルマン24時間優勝、世界一売れたロードスター、日本一の美しいカーデザイン、日本一誇れる赤い塗装など歴史を持つカーメーカーとして認識されている。

そのマツダが今度は、画期的なエンジン技術のスカイアクティブXで市場を誘惑しようとしている。そこで、ドイツで試乗してみたマツダ3「スカイアクティブX」ガソリンエンジン仕様の走りをお伝えしよう。ちなみに、「マツダ3」は日本名「アクセラ」の新ネーミングで、世界共通になるわけだ。

この技術はかなり複雑なので、まず手短に説明しておこう。スカイアクティブXの最大メリットは、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのそれぞれの一番おいしい特徴を両立させているということ。つまり、ディーゼルの燃費の良さと、そしてガソリン・エンジンの高回転でのレスポンスという長所と弱みを上手く混合しているわけだ。

これらを可能にしたのは、マツダ独自の新しい燃焼方式「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」だ。これによって、ガソリンエンジンにおいて圧縮着火を制御する技術の実用化に世界で初めてメドを付けた。マツダはそう主張しているけど、実際、乗ってみるとどうなのか? どんな画期的なエンジンができたのか? 



簡単にいうと、2Lのガソリンエンジンに、ディーゼルのコモンレール・システムのエッセンスを採用したのと、スーパーチャージャーと、マイルド・ハイブリッド・システムが加わっている。これが多くのメーカーが昔から作ろうとしている極めて理想に近いエンジンだ。スカイアクティブXの最も優れているところは、とにかく普通っぽく走れるということ。エンジンのフィーリング、音や振動は普通のガソリンエンジンと変わらない。

1500回転以上出すと、多少さりげないディーゼルっぽい音が聞こえてくるが、決して嫌な音ではない。4500回転以上踏み込むと、不思議なことにエンジンのフィーリングや音は少しスポーティなガソリンエンジンの音に変わる。でも、1500から6000回転までガソリンエンジンのように元気に加速するし、高回転域では逆に思い切りガソリンエンジンの幅広いレスポンスをしてくれる。

嬉しいことに、マツダは6速M/Tと6速A/Tを用意してくれている。運転好きなら6M/Tで、このエンジンの"おいしいゾーン"3000−6000回転で気落ちよくパワー感を引き出せる。シフトレバーのストロークが短く、シフトフィールもスムーズで確実だ。



このエンジンは180psも出しているけど、4、5人で乗って上り坂を登った場合、もう少しパワー感が欲しくなると思った。エンジン音は十分スポーティだけどね。6速A/Tも割と素早く変速してくれるけど、多くのメーカーが採用しているような8速A/Tにした方がこのエンジンの幅広い特性がより良く楽しめると感じた。
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文=ピーター・ライオン

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