未来を映してくれる水晶玉は残念ながら実在していませんが、それに代わるものが、今まさに出てきました。それが、「AI」です──。
7月19日、都内で行われた「SoftBank World 2019」は、孫正義の基調講演から始まった。そこで彼は、日本の未来とAIの必要性について力強く語った。以下、その内容を抜粋して紹介する。
進化のキーワードは「データ」
人類は今まで多くの進化を遂げてきました。例えば、空を高く飛べる鳥を見て「あんな風に空を飛べたらいいな」と想像しながらレオナルド・ダ・ヴィンチが飛行機の原型を発明しました。多くの進化が人間のものの考え方を根底から変えてしまいました。
想像力は、自分たちの将来の姿を変えるかもしれません。人間が持っている推論する力、というのは進化のもっとも大きな源泉になっていると思います。その推論する上で、欠かせないのが「データ」です。
ありとあらゆることが人間の推論の力で生み出されてきました。ならば「人類の進化」はもうほとんど終わりにさしかかっているのでしょうか。もしくはこれからも加速していくのでしょうか?
私は、「加速していく」と思います。そもそも、インターネットに流れているデータの量は、この30年間で約100万倍になったんです。そこで私は、この先30年の世界がどうなるか、推論しました。
データは、もう一度、100万倍になるでしょう。爆発的に増加していくと思っています。クラウド、そして自動運転。自動運転の車の世界は、まさに最大のロボットに値します。車が自動運転化されて事故の起きない世界が生まれています。少なくとも我々人類は、多くの事故が起きる可能性と引き換えに、車を使っています。しかしこの事故を、100万分の1に削減することができるなら。さまざまなデータをもとに予見し、推論して未然に事故を防ぐことができます。そのためには、今よりさらに、多くのデータが必要となります。