報告書は、フランス国立農学研究所(INRA)がまとめたものだ。INRAは欧州1位、世界2位の規模を誇る農業機関で、持続可能な開発と競争力に焦点を当てている。英紙タイムズは報告書の内容を次のように伝えた。
「フランスは2018年、欧州連合(EU)諸国から384億ユーロ(約4兆6400億円)の飲食品を輸入した。その大半はスペイン、ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリア、英国からのものだ。フランスの同年のEUへの飲食品輸出額は381億ユーロ(約4兆6100億円)だった」
フランスは農業保護の施策を強化しており、環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉では、農業をめぐり米国と意見が対立している。トランプ米大統領は、フランスが農業セクターを貿易協定に含めることに同意しなければ、フランス産食品への関税を引き上げると警告。しかしフランスは、自動車以外の「工業製品」のみを対象とし、特に肉・果物・ワインを除外することを希望している。
問題の一つは、フランスが自分たちの誇る伝統農業を守るため、食品の大量生産や集約農業の許可に抵抗していることにある。しかしこれにより、フランスほど厳格な農業基準を持たない他の欧州諸国で生産された食品の方がはるかに安くなる。
フランス農民組合のクリスティアーヌ・ランベール組合長はタイムズ紙に対し、マクロン仏大統領の農業政策によりフランス産食品は価格が高騰し、市場から追い出されていると指摘。「大統領からは高級品市場を狙うよう言われたが、今年前半の6カ月で、安さを理由にポーランドやドイツからの鶏肉輸入が非常に増えた」と述べた。フランス人が、自国で生産された食べ物を買えないようになってしまっているのだ。