今、時代の変わり目にあるテーマとして「資本主義は人や世界を本当に幸せにしたのか、これからもしていくのか」というのがあると思います。それは先にお話しした(第2話リンク)「感性 vs AI」という話とも繋がってきます。1900円でシャツが買えるこのご時世に1万円のシャツを我々は販売していますが、それを着ているということは「感性を大切にする」という意思表明であり、日本のものづくりを残していくってことへの大義だと思っているんです。
例えリスクがあろうとも、地球規模で世の中が幸せになることをしていると絶対的に信じているので、志がブレることは無いです。
会社の方向性をぶらさないための、社員の自浄作用
──社員の皆さんは日常業務に追われて視座が下がりがちになることもあるのかなと思うのですが、それを常に引き上げる工夫は何かされていますか?
私が言うのもなんですけれど、凄くいい仲間に恵まれていて、自浄作用の強いメンバーが集まっていると思います。
我々ももちろん売上をシビアに追いかけています。でも売上をなぜ追いかけるかというと、ある程度の売り上げを達成して工場に出して儲かってもらわないと、我々は綺麗ごとを言っているだけの人になってしまうからです。
だから単に売上至上主義になるのではなくて、自浄作用を働かせながら「コレってこのまま増やしていいんだっけ?」とか、「みんなが思わずクリックするフレーズを入れたほう売れるけど、それって僕ららしいっけ?」とか、一つ一つの行動を葛藤しながら判断してやってくれています。
ひとつ工夫として言うならば、そういった「自浄作用が働く人か」の確認は採用の時に済ませています。弊社では採用時に、must、can、will……つまり、自分がやらなきゃいけないこと、できること、自分が将来どうなりたいかを全社員に向けてプレゼンしてもらうようにしています。
──なるほど。組織の志をブラさないために、エントリーマネジメントが重要だということですね。もう少し、御社の採用について詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
採用自体は今、HP経由と社員紹介経由が主で、ファクトリエのお客様だったというケースも多いです。その点では理念に凄く共感してもらえていますし、大量採用したり、エージェントを使って公募したりする訳でもないので、そもそも応募してくる時点で既にマインドがマッチしている方が多いというのはあるかもしれません。