家庭で金融教育を始める「最高のタイミング」はいつか

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我が家には3人の子どもがいるが、年齢が上から6歳、3歳半、1歳半となっており、年齢ごとにおける子どもの成長に伴う変化を確認していくにはとても都合がよい。

少しずつ言葉を喋るようになったり、立ち上がったりなど、子どもの成長は目覚ましいものである。日々少しずつ成長していくなかで、子どもには数字に敏感になる時期があるように感じている。家庭での金融教育の最初のタイミングはこの「数字の敏感期」なのではないか。

実際に数えさせることが重要

お風呂に入っていて、湯船から出る前に10を一緒に数えたり、壁に貼ってある五十音表に一緒に記載されている0~10までの数字を一緒に勉強したりするなかで、子どもは少しずつ数の概念を覚えていく。その結果、数字が読めるようになったり、数を数えられるようになったりすることで、日常生活に頻出する数字に関することを言葉として発するようになる。

例えば、「時計の長い針が3になるまでに朝食を食べ終える」と言ったかと思えば、「時計の長い針が6になったら家を出るから、それまでにトイレに行って着替える」といった具合だ。また、家の中にある洗濯ばさみやクレヨンを1つずつ床に並べながら、「1、2、3・・・」というように数えていく。不思議なもので、本当にある日を境に急に数字に敏感になるタイミングが来るように思える。

我が家ではおこづかいを硬貨であげている。子どもは貯金箱に硬貨を隔週で入れていくのだが、ある程度貯まって貯金箱が重くなると、貯金箱の底から硬貨を出して数え、いまいくらあるかを確認したりもする。

世の中はキャッシュレス社会に向かっているが、著者は子どもにおこづかいを現金で渡し続けようと思っている。いまとなって考えると、現物で渡すことが「数字の敏感期」を適切に迎えさせる1つのきっかけになっているように思える。

最適解を最初から教えずに、まずは褒める

目の前のモノを数え始めるようになると、今度は四則演算を教えていないのに、感覚的に足し算や掛け算の概念を学習し始める。もちろん、「3×2=6」といったような掛け算は理解していないが、3個1組のモノを2つ集めると全部で6個になる、といった具合で、あくまで感覚的に掛け算も出来るようにはなっていく。

算数としては理解していないため、大人からすると不思議な形で計算をしていることもある。しかし、子どもが説明してくれた時に「それは答えはあってるけど、こっちの方が簡単に計算できるよ」とは言わずに、まずは褒めてあげて、その方法を考えられたことに驚いてみせてあげることが重要な気がしている。

おそらく、受験数学的な発想に基づけば、計算過程をいかに簡易にして、計算に掛かる時間を短縮しつつ、同時に計算ミスの確率を下げていくことが重要になってくるのかもしれないが、それはこの時期の子どもには重要ではないと著者は考えている。

小学校に入れば教科書に基づいて、先生から最も効率的な計算方法は習うため、未就学児の間は最適解以外の計算方法を感覚的に覚えておくことで、複雑な問題を解くときに様々な角度から考えることが出来るようになるのではないだろうか。
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文=森永康平

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