アビゲイル・ディズニー / Getty Images

米ウォルト・ディズニー・カンパニーの共同創業者の孫であるアビゲイル・ディズニーが、ディズニー・ランドの従業員らの労働環境について「腹が立ってたまらない」と憤りをあらわにしている。

ウォルト・ディズニー・カンパニーの幹部と一般従業員の賃金格差を批判してきたことで知られるアビゲイルは7月17日、出演した米CNNの番組で、この問題に対する同社のロバート・アイガー最高経営責任者(CEO)の対応は不十分だと改めて非難した。

アビゲイルは最近、ディズニー・ランドを訪れ、従業員たちの働く様子を見てきたという。フェイスブックを通じて従業員の1人から、「食べる物を手に入れるために他人のゴミをあさらなければならないような状態で、どうすれば(仕事中に)喜びや優しさを感じさせる表情を保てるのか分からない」とのメッセージを受け取ったためだ。

番組の中でアビゲイルは、現在の同社の文化は自身の祖父とその弟の価値観を反映したものではないと指摘。次のように語った。

「祖父は私に、入場するときにチケットをもぎってくれる人や、グラスにソーダを注いでくれる人たちに敬意を払いなさい、そうした人たちこそが成功の秘訣なのだ、と教えてくれた」

「ボブ(アイガー)は、歩道に落ちて貼り付いたガムを取ってくれる人たちが従業員であるのと同じように、自分も雇われていることを自覚する必要がある。他の従業員たちにも自分と同じように、尊厳と人権を守られる権利があることを理解するべきだ」

CEOの報酬は一般従業員の1000倍

地方紙オーランド・センチネルによると、アイガーが昨年受け取った報酬は、6600万ドル(約71億円)。平均的な従業員の給料の1000倍以上だ。

ただ、ロサンゼルス・タイムズによれば、ディズニー・ランドがあるアナハイム市は昨年11月、最低賃金をそれまでの時給10ドルから引き上げ、今年から15ドルとすることを決定。さらに、2022年まで毎年、同1ドルずつ引き上げることになっている。

また、ウォルト・ディズニー・カンパニーに対しては、傘下のハリウッド・レコードやテーマパークの設計・開発などを行うウォルト・ディズニー・イマジニアリング、動画配信サービスのHulu、ESPNも含め、男女の賃金に格差があるとして、女性4人が訴訟を起こしている(会社側は原告の主張を否定)。

会社側は全面否定

創業者の孫からの指摘を受け、ウォルト・ディズニー・カンパニーは声明を発表。アビゲイルが批判する「事実」を明確に否定した。メディアに大きく取り上げられているのは「完全に、かつ不当に誇張された事実」だという。

「誇張された内容は虚偽であるだけでなく、ディズニーのコミュニティの一員である何千人もの従業員たちに対する侮辱でもある」と述べている。

アビゲイルはディズニー家のその他の人たちと同様に、ウォルト・ディズニー・カンパニーの事業に対する発言権を持たない。だが、以前から同社の賃金格差を批判。この問題については少し前にもアイガーに長文のメールを送ったが、返信はないと明らかにしている。そして、「それが返事なのだろう」と受け止めている。

一方、ウォルト・ディズニー・カンパニーが証券取引委員会に今年3月に提出した有価証券報告書によると、アイガーは受け取れる可能性のある報酬の最高額を1350億ドル引き下げることに同意している。

ドキュメンタリー映画の監督で慈善活動家のアビゲイル・ディズニーの保有する資産は、自身が英紙フィナンシャル・タイムズに語ったところによれば、1億2000万ドル。エール大学を卒業後、スタンフォード大学で修士号、コロンビア大学で博士号を取得している。

編集=木内涼子

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