ビジネス

2019.07.19

何気なく始めた趣味が人生の夢に 「チーズケーキで世界を変える」田村浩二の挑戦

Mr.CHEESECAKEの田村浩二


ずっと料理しかしてこなくて、今まで自分のレストランを出す以外の選択肢を考えたことがありませんでした。でもチーズケーキの事業が伸びてきた。エネルギーを注いでいいかわからないレストランに踏み込むよりも、今後どうなるか分からないけど大きな可能性のあるチーズケーキに賭けてみたらいいんじゃないか。そう思い、チーズケーキ事業を本格的に展開していくことに決め、独立することにしました。

独立後は個人事業主として商品企画に携わりながら、キッチンの準備をしつつ、昨年の12月にキッチンができたので、チーズケーキづくりを再開し、今に至ります。

チーズケーキが人生を変えてくれた

人生最高のチーズケーキ。自分がこれ1本で勝負してきたのにも理由があります。今は何でも手に入るし、何でも知れる。個人的に情報が多いことがネガティブだと思っているんです。例えば、サラダ屋さんに行くとメニューが10個くらいあるわけです。その中から選ぶのって面倒くさいんですよね。であれば、自信を持っておすすめできる1種類をお届けするのが良いのではないか、と。

当初、自分ひとりでやっていくつもりだったので、たくさん種類をつくったらきっと手が回らなくなるだろうとも思いました。それでお客様に迷惑をかけるぐらいなら、すごく美味しいチーズケーキをつくり、それがずっと愛される商品になればいい。そう思って、やってきました。

全員が同じものを食べていたら、それが基準になる。その方がお客さんは手に取りやすいと思いますし、食べてくださった皆さんの感想が集まってきやすくなる。体験を共有できる環境も大事にしたいと思い、あまり商品数を増やしていません。

チーズケーキのレシピを公開した本も出版していて。最初はレシピを本に載せたら真似されたり、買わなくなったりする人がいるんじゃないか。そんな声もあったのですが、個人的には絶対にそれはないな、と。

それよりも自分はチーズケーキを作ったら、きっと作ってくれた人たちは写真付きでツイッターに投稿したり、シェアをしてくれるのではいか、と思っていました。そうすることでチーズケーキが自然と話題になる。結果的にそういう行動をしてくれた人が多く、いろいろなところで話題にしてもらえました。



そうした口コミをもとに購入してくれる人が増えていき、想像以上のスピードで事業が成長しています。現在、1週間の始めに予約を受け付け、完成したものから配送していく体制でチーズケーキを作っています。ただ、ずっと今のままで続けていくと、たくさんのお客様をお待たせしてしまう。

自分は「Mr.CHEESECAKE」を世界に通用する“トーキョーチーズケーキ”にし、世界に持っていきたい。そして、ひとつのカテゴリーを作りたい。そう思っているんです。そのためには、チーズケーキをきちんと作り続けられる体制を構築しないと厳しい。
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文=新國翔大、人物写真=小田駿一

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