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──自身の子育てについて、フィロソフィー(哲学)はありますか。

母親の役割を生きるのではなく、自分を生きること。

息子からは「お母さん」って呼ばれたことがなくて、小さい頃は「マコちゃん」、大学生になった今は「マコ」って呼び捨て(笑)。でもそのほうがいろんな話も、ディスカッションもしやすい気がしています。

この前は息子が課外活動のミーティングが長引くという話をしていたので、「グーグルドライブで先にアジェンダを出し合っておいて、それをもとにスケジュールを組んでミーティングを進めていくんだよ」と、マドレボニータのやり方を教えると、「マドレすげー!」って感動していました。
「友だちがマコに話を聞きたいから」と、何人か連れて来てくれることもあります。お互いに対等だと、子育てが終わってもいい関係が築けるのかなと思います。

──この先、社会をどのように変えたいですか。また、どのように変わってほしいですか。

産後ケアを自己責任に任せるのではなく、社会全体で支えられるようなインフラにしていきたい。マドレボニータはその分野のパイアニアとして旗振り役となれたらと思っています。

東京・世田谷に教室を開いていた創業時は、来てくれる人に産後ケアを提供できれば十分だと思っていました。

でも、活動するうちに全国各地で必要だと言ってくれる人が出てきて、母子手帳がすべての妊婦に配られるのと同じように、産後ケアもすべての人が受けられる社会インフラとなっていくべきだと考えるようになりました。

そのために今は、行政と企業へ働きかけながら、社会全体で「赤ちゃんを迎える家族」をサポートできる仕組み作りに力を入れています。

また、人の尊厳が守られる社会になってほしいと願っています。

小さな子どもがいる生活は、日が暮れる前に家へ帰って、ご飯を食べて早く寝るという、健康的な日々の繰り返しです。すごく人間らしい生活だと思います。でも、今の社会では一番手に入らないものになってしまっています。

社会全体の働き方が変われば、男性はもっと健康になり、子育てや家事を担えるようになり、女性はもっと社会とつながりを持ち、力を発揮することができると思います。

人間らしい生活を送り、パートナーと協力して家庭を運営する「リアルな生活感覚」を持った人たちが生み出すアイデアやサービスはより人に優しく、よいものになっていくはずです。


吉岡マコ(よしおか・まこ)◎東京大学文学部美学芸術学卒業後、同大学院生命環境科学科で運動生理学を学ぶ。1998年、25歳で出産しまもなくシングルマザーに。産後の心身の辛さからケアの必要性を感じ、同年9月に「産後ケア教室」を立ち上げる。独自に開発したプログラムが支持され、2007年にNPO法人マドレボニータを設立。産後白書シリーズの発行など、未開拓であった「産後」という分野の調査研究にも注力。ひとり親、多胎児の母、障がいをもつ児の母などを支える産後ケアバトン制度で、社会的に孤立しがちな親子をサポート。「すべての家族に産後ケア」を目指して活動中。

構成=松尾友喜 イラスト=Luke Waller

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