ハーブを摘み、生きる喜びと働き方を考えた|フィンランド幸せ哲学 vol.1

ヘルシンキ・ワイルドフーズ社の共同創立者アンニカ・ハンヌス



さまざまな野生のハーブ

写真は私が食べたハーブだが、右下はハゴロモグサ。ティーハーブや、ジンジャークッキーに入れたりするそうだ。葉を潰して絞った液体をスキンケアに使ったり、葉は乾燥させてマッサージに使ったりする。いわば、フィンランドの女性たちの美の秘密だと、アンニカは教えてくれた。

左下がイワミツバ。葉が小さいほうがおいしいということだったが、葉をかじるとセロリのようで、少し清涼感のある味だった。

日本でも馴染みのある「ハーブ」もあった。ダンデライオン、タンポポだ。まだ若い葉を食べるそうで、500種類もあり、それぞれ味も違うということに驚いた。デトックス効果が強く、食べ過ぎるとトイレに駆け込むことになるので要注意。

「尖ったものはきつい味。丸みがあるものはサラダによく使われる」というアンニカの説明に、妙に納得してしまった。

いろいろな野生のハーブを食べるのにも慣れて、終盤にもっとも恐る恐る口にしたのはモミの木だ。アンニカが事前に摘み、洗った新鮮な葉を渡してくれた。


モミの木。新鮮な若葉は柔らかい

トゲトゲしていて、口の中が痛くないかと思ったけれど、若い葉は柔らかくレモンのような味だった。サラダにそのまま使ったり、液体をシロップに入れたりして、喉にも良いそう。

「仕事終わりの一杯」が健康的

フィンランドの国の木である白樺は、幹にキシリトールを含んでおり、歯に良いらしい。しかし、採取するには許可が必要だそうだ。「仕事終わりの一杯」として、白樺のシロップを飲むこともあるらしい。日本の「とりあえず生(ビール)」とは違い、とても健康的だ。

小1時間、私たちは森の中を散策しながらハーブを摘んだ後、アンニカは「ハーブパーティー」のようなピクニックを用意してくれていた。

野草のサラダに、モミの木の葉が載せられたマッシュルームパイ。ベリーのグラノーラや黄色いシーベリーに、野菜のディップ。リンゴベリーのパウダーはキシリトール入りで、ヨーグルトにかけても良いが、そのまま食べても美味しい。


「メッタ」の自然食材を使ったピクニック

ヘルシンキ・ワイルドフーズは、街中に住んでいた研究者やジャーナリストなど6人の女性たちが立ち上げた。ハーブ摘みを案内してくれたアンニカは、フードサイエンティストだという。

会社になって4年。新しく立ち上げたフードブランド「METTÄ」は、北欧の「森の恵」を届けようと、ピクニックでも使われたリンゴベリーや、ラップランドのポルチーニ茸ミックスなどの商品が、洒落たパッケージに入っている。

ヘルシンキのほか、日本では「ムーミンバレーパーク」に隣接する北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」(埼玉県飯能市)内のショップで販売しているそうだ。
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文=督あかり 写真=Aleksi Poutala

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