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2019.07.20 18:05

「スターウォーズ」のストーリーは、才能ではなく「方法」で書かれた


映画『スターウォーズ』は、まさにこの流れに則っています。


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ここに着目したのが、ディズニーにいた脚本家クリストファー・フォグラーです。彼は「千の顔を持つ英雄の実践的活用法」という7ページのメモをハリウッドの脚本家仲間のために書きます。フォグラーは、キャンベルの「神話の構造という認識の仕方」を「道具」にして創作をすればいいんじゃないかと思いついたのですね。

このメモが与えた影響は非常に大きかったと思われ、創作上の跳躍をもたらしました。才能ではなく方法によって、映画のストーリーが作れるようになったわけです。事実、現在でもハリウッド映画の多くに、フォグラーのメモの影響がうかがえます。

弁証法は最高の道具

私が冒頭から脱線気味にストーリーの創作技法の話をしたのは、フォグラーが「ストーリーの認識の仕方」を「道具にした」のと同じように、弁証法は「生きるための最高の道具」として使える、その使い方を紹介しようと思うからです。

ストーリーを紡ぐこと、生きること、どちらも「方法」や「鉄則」、「近道」はなさそうに見えますが、その実、持っているといないのとでは大きく違う、便利な道具が存在するのです。

私は19歳の頃、予備校の先生から初めて弁証法を本格的に教わりました。それから苦しかった4年間の浪人時代、広告代理店にいた時、シリコンバレー時代、映画づくり、経営コンサルティング……とずっと弁証法を使い続けました。実は映画とは一見関係のない経営の大学院に進んだのも、映画を撮るためだったのですが、これも弁証法の発想でした。


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弁証法とは、ソクラテスの時代に生まれ、19世紀にドイツのゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルという哲学者によって定式化(一定のパターンに落とし込む)された「認識の方法」です。

『資本論』を著したことで有名なドイツの経済学者カール・マルクスは、ヘーゲルの仕事を「ヘーゲルの弁証法」として、さらに定式化しました。

ヘーゲルの弁証法を一言で説明するのは難しいですが、一般的には「相容れないふたつの要素を統合させる」という説明がなされます。ヘーゲルの弁証法というものを考える時、しばしば「矛盾」という言い方をしますが、私個人としては矛盾というよりも「異質」という理解をしています。そのほうが弁証法を道具として使う際に、勝手が良いからです。
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文=さかはらあつし 編集=石井節子

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