そういった言葉を聞いた時に、「本物のブランド」というのは、現地の素晴らしい技術を使ったものづくりからしか生まれない。日本のアパレルブランドの多くが生産国を人件費が安い国に移す中で、1つくらい、日本の本質的なものづくりから生まれるブランドがあっても良いのではないか。そう思い、この事業を始めました。
「四方よし」の考えを持ち続ける
──御社ならではのブランドを作るにあたって、これだけは大事にしているという心構えはありますか?
作り手、作り手の後継者、使い手、伝え手である自分達。この四者みんなが幸せである=「四方よし」でなくてはいけないということが大前提にあります。
その上で、「ファクトリエを好きでいてくれるロイヤルユーザーが、それをやった時に喜ぶのか?」ということを常に行動のジャッジポイントに置いています。我々はマーケットイン型ではなくてプロダクトアウト型の事業なので、商品を愛好してくれている真のお客様が引き続き喜んでくれるか、というのを凄く大切にしています。
表面上の色使いやデザインといったことよりも、我々が大切にしている根本的な事を守り続けることが重要だと思っています。
──顧客が喜ぶか、「四方よし」かというのを確認する方法はあるんでしょうか?「よかれと思ってやっていたのに、顧客との間に物凄い認識のズレが生じていた」というケースはよく見られるかと思うのですが。
社内にブランドチームというものをつくって、彼らが確認の役割を果たしてくれています。月に1回、コンシェルジュやMD、カスタマー担当も含めて全社員を集めて、朝8時から「それはファクトリエらしいのか」というのを議論するようにしているんです。(編注:現在は別の形になっている)
たとえば「『ファクトリエ』らしい接客は何か?」とか「『ファクトリエ』5周年にあたって何をやるべきか?」とか。その中で目線が合っていきますし、ちゃんと社員が原点に立ち戻る場所として機能しています。
一番悲しいのは「パッケージやキャッチフレーズはかっこいいけど中身が伴ってない」というパターンですよね。それは本質的ではないのでお客様はついてきてくれません。根本的で本質的なこと、我々で言うと「四方よし」から常に考えていくことで、本物のブランドは作られていくと思います。