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2019.07.17

本物のブランドをつくるために必要な「四方よし」の考え|ライフスタイルアクセント山田敏夫

ライフスタイルアクセント 山田敏夫

「日本の工場から、世界一流のブランドを作る」というビジョンに基づき、山田氏自らが直接足を運んで厳選した工場と顧客とを直接繋ぐファッションブランド「ファクトリエ」。同ブランドを生み出し、ものづくりのあり方を変えようとするライフスタイルアクセント代表取締役・山田敏夫氏に、社会的価値を生み出す起業についてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全6話)


フランスで知った「本物のブランド」のあり方

──改めまして、御社の事業概要と、なぜその事業を起業されたかを教えていただいてもよいでしょうか。

我々の事業は、アパレル流通で本来なら6つも7つも存在している中間流通を介さず、アパレル工場とお客様をネットを通して直接繋いでいる「工場直結型ファッションブランド」です。商品はすべてメイドインジャパンで、工場直販でやっています。そのために、約700の国内工場に直接出向いて交渉し、なかでも一流ブランドの名に恥じない、厳選した55工場と提携しています。

私自身は、もともと熊本の婦人服店で生まれ育ちました。子供の頃は店で手伝いをよくしていたのですが、日本製の高品質の商品を、たとえ高価でも喜んでお客様が買い、長く使ってくださるような光景を日々見ることができる環境で育ちました。


※幼少期の山田CEO(写真左)。実家の婦人服店にて。

この事業をやろうと思ったきっかけは、大学時代にフランスに留学して、グッチのパリ店で働いていたときに「なぜ日本には本物のブランドがないの?」と言われたことです。私はそのときいくつか日本のブランド名を挙げたんですが、「それは全部日本製なのか」と聞かれて困ったんですね。



例えばエルメスは3000人以上の職人がフランス国内にいて、1人の職人がバッグ1個作るのに20時間かかる。週に2個しか作ることが出来ない。それこそが「本物のブランド」だと。

私が学校で学んだような「ブランド」、例えば有名な選手とコラボレーション商品を作ったり、ロゴを中心にデザインを統一してイマジネーションを刷り込む、これは「アメリカ型のブランド」だと彼らは言うんです。

ヨーロッパにはブランドという言葉は元々無くて、ブランドのことをフランス語では「marque(マーク)」と言います。要は「アメリカ型のブランド」に対する痛烈な揶揄なんですね。「マークでしかない」と。

「アメリカはヨーロッパに比べて歴史がない国だから、そのようなやり方しか出来ない。だけど日本には100年も200年も織りや染めの歴史があるのに、何故アメリカのようにやるのか」
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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