プラスチックごみの問題は年々深刻化しており、2048年までに魚よりも海中のプラスチック廃棄物のほうが多くなると予想されている。
そこでアディダスは海岸や海沿いで回収されたプラスチックごみをアスリートのパフォーマンスを向上させる素材に変え、トレーニングウェアを開発した。7月13日よりオンラインショップ、直営店や取扱店舗などで発売を開始している。
今回、コラボする「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ」)は2015年4月にアディダスとパートナーシップを締結。Parley for the Oceansは海洋の美しさと脆弱性について認識を高める目的で作られた組織。2014年に同組織の代表、シリル・グッチと話す機会があり、海のプラスチック問題について知り、パートナーシップを結ぶことになったという。
Parley for the Oceansは他にも、アパレルブランドのステラ・マッカートニーともコラボしている。
発表されたウェアの一部は、以下の通り。
アディダス
アディダス
アディダス
企業が目指す、サステナビリティ
今回の取り組みについてアディダス担当者に話を聞くと、こう答えた。
「これまでに世の中でリサイクルされたプラスチック廃棄物はわずか9%です。これは環境に甚大な悪影響を及ぼしています。スポーツウェアの大手メーカーの一社として、弊社はソリューションに貢献する必要があります。アディダスのスポーツウェアが埋め立て地や浜辺に辿り着くことを防ぎ、新しく生産されたプラスチックへの依存を減らしたいと思っております」
プラスチックごみの問題と戦っているのは、アディダスだけではない。環境省が出した2018年の資料によれば、グローバル大企業がプラスチックごみを減らすための工夫をしている。
例えば、コカ・コーラは2030年までに製品に使用するすべてのボトルと缶の回収・リサイクルを推進するグローバル目標を設定した。
マクドナルドは顧客用容器包装の100%に再生可能、リサイクル、または認証済み資源を使用し、特に森林管理協議会の認証を優先している。そして、スターバックスはプラスチック製の使い捨てストローの使用を2020年までに世界中の店舗で全廃すると発表した。これらの取り組みはほんの一部だ。
グローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)と持続可能なアパレル連合(SAC)が、ボストンコンサルティンググループの協力の下、作成した報告書によると、消費者の33%以上は環境に対し公式な立場を表明しているブランドを支持するためブランドを変更したと回答。さらに買い物客の50%は、将来、環境に優しいファッションブランドを支持するためブランドを切り替えることを計画している。
企業は良いものを売るだけでなく、社会に対する責任をより求められるようになった。企業のCSRではなく、主流の商品で環境を配慮するのは今後も見られる動きだろう。