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本は自己投資!

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国の力や勢いを測るモノサシといえば、一般にはGDP(国内総生産)が知られている。ある一定の期間にその国で生み出された付加価値の総額だ。GDPの値が伸びていれば、その国の経済は成長しているし、伸びていなければ、成長が鈍化したなどと言われる。だから、その速報値にみんな一喜一憂する。

ただ注意しなければならないのは、GDPの値はあくまでも結果に過ぎないということだ。結果に一喜一憂するのも、なんだか数字に踊らされているようでカッコ悪い。やはり優秀なビジネスパーソンともなれば、スマートに未来を予測してみせたいところだ。

とはいえ、未来を見通すにも新しいモノサシは必要である。ある国の潜在能力を見抜くにはどうすればいいだろうか。

それはその国の「妄想力」を測ればいい。

どうやって? 具体的には、その国のSF小説を読むのである。

それだけ? そう、ただそれだけだ。

そもそも文学は妄想力の産物である。なぜSF小説に限定するのか疑問を持つ人もいるかもしれない。たしかに優れた文学作品は数限りなくある。しかし、ここであえて「SF」にフォーカスしたところがミソなのだ。

サイエンス・フィクションとは、いわば科学的な知識にもとづいた妄想である。このジャンルが成立するためには、科学的リテラシーを備えた読者を必要とする。つまり最先端の科学知識にもとづいたSF小説が広く読まれている国には、それだけの内容を理解できる読者層が存在するのだ。壮大な科学的ビジョンを受け入れるだけの土壌があるということになる。

科学技術はいまや経済成長に欠かせないエンジンだ。SF小説を読み解けば、その国の技術力や人々の科学的リテラシーの水準などが見えてくるのである。

では、今もっともSF小説が熱く盛り上がっている国はどこか。中国である。華文SFは、その素晴らしい(そして驚くべき)科学的妄想力で世界を席巻しているのだ。そしてこのたび、ついにその真打ちとも言える作品が登場した。

劉慈欣(リュウ・ツーシン)の『三体(さんたい)』大森望、光吉さくら、ワン・チャイ=訳 立原透耶=監修(早川書房)である。

文=首藤淳哉

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