ビジネス

2019.07.17

驚きのアイデアでジェンダーの固定観念をくつがえす、世界が認めた3つの作品

世界最大級の広告祭、カンヌライオンズの会場にて


1. The Last Ever Issue



1つ目はポーランドのポルノ雑誌をニュースサイトの「GAZETA.PL」とメガバンクの「BNP PARIBAS」、そして「MASTER CARD」によるチームが買収した案件だ。

買収された雑誌は「Twój Weekend(あなたの週末)」。ポーランドで最も歴史のあるポルノ雑誌で、誌面は女性のヌードグラビアで溢れている。ただ、この雑誌を通じて男性がイメージする女性像はファンタジーにすぎない。しかし、ポーランドでは公的な性教育が満足になされておらず、多くの男性が長年このポルノ雑誌から女性のことを学んできた。

結果としてポーランドでは女性は弱く、気に留める必要がなく、聡明ではない存在として扱われてしまっていた。この悪習に終止符を打つために、前出のチームがとった手段がTwój Weekendの買収だった。

2019年の国際女性デーに「The Last Ever Issue」と銘打った最終号を発売。雑誌の構成をそのまま残しつつ、内容を完璧に作り変えることで、これまでの女性差別と女性蔑視に対して戦いを挑んだのだ。

すべてのグラビアは女性写真家による女性の多様性を表現する美しい写真で埋め尽くされ、コラムやインタビュー記事ではジェンダー・イコーリティーに関する正しい知識を提供した。

The Last Ever Issueはポーランドの国中で話題になり、過去10年間で最も売れた号となり、カンヌライオンズではグラス部門(ジェンダーの課題をクリエイティブに解決しようとした作品部門)のグランプリを勝ち取った。
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文・写真=入澤諒

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