日本−グアテマラで遠隔ワークのCEO、「情報で女性の能力を解放する」

SHEVA CEO マリサベル・ルイス

女性社会起業家、マリサベル・ルイスが設立した「SHEVA」は、中米のグアテマラで、少女や若い女性のエンパワーメントを目的にスマートフォンの使い方を教える教育プログラムを展開している。

このプログラムは、2017年に国連の「EQUALS in Tech Award」の15のファイナリストの1つに選ばれたほか、今年は世界の携帯通信事業者の業界団体「GSMA」による「グローバル・モバイル・アワード2019」のソーシャルグッド部門で、途上国の女性のためのベスト・モバイル・イノベーションのトップ5としてノミネートされた。精力的に活動を続けるルイスだが、現在はなんと日本に住みながらリモートでCEOをしている。

自らの力で道を切り拓く女性たち「セルフメイドウーマン」を紹介する連載企画。7月25日発売のForbes JAPAN9月号でも特集するこの企画で、今回はマリサベル・ルイスのわくわくする瞬間を聞いた。

──SHEVAの事業内容について教えてください。

SHEVAはグアテマラの大手通信企業Tigo財団と組んで、15歳から30歳までの女性と女の子にスマートフォンの使い方、デジタルスキルを教えています。デジタルスキルを身につければ、正しい情報をインターネットで探して、それに基づいた決断や判断ができるようになります。そうやって、女性たちの能力を解放できると信じています。

これまでにプログラムに参加したのは約3万人。女性のエンパワメント活動をしている団体はたくさんありますが、SHEVAはスマートフォンのトレーニングに特化しているのが特徴です。無料のアプリを開発し、オンラインのさまざまなレッスンを提供しています。個人情報の保護やサイバーセキュリティなどのオンライン・リテラシーも教えていて、テスト機能を使ってトレーニングの進捗状況がわかるのも特徴です。

プログラムは高い評価を得て、今後はグアテマラだけでなく、コスタリカ、エルサルバドル、ホンデュラスなどの中米諸国で展開する予定です。

──SHEVAはもともと生理用品のECサイトから始まったと聞いています。どのように今の形になったのでしょうか。

まず、生理用品を買うごとに、グアテマラの女の子に生理用品を寄付できるECサイトをつくりました。生理用品が買えないために、学校に行けなくなる女子生徒を減らしたかったからです。さらに2015年からグアテマラのコミュニティで女の子に生理について教えるトレーニングを始めました。彼女たちの多くは生理が何かも教わっておらず、基本的な知識も持っていませんでした。

でも、ふと気がつくと、彼女たちは携帯電話を持っていてインターネットにアクセスできるんです。フェイスブックを使って、「友達になってくれない? 」って聞いてくる子もいました。その時にアイデアが浮かびました。我々が直接教えるよりも、彼女たち自身で情報を探せるようになった方がいいのではないかと。「正しい知識を身につける方法」を学ぶことは、生理だけでなく栄養不足の問題など、途上国の様々な課題解決に結びつくと思います。

生理用品のECサイトから始まったSHEVAがいまでは全然違うものになりましたね。でも、それがスタートアップだと思います。事業を続けるべきか悩んだ時期もありましたが、私のパッション(情熱)は情報を使って女性をエンパワメントをすることです。それは変わりませんでした。

もしかしたら、次の年、もしくは10年後は違うことでエンパワメントをしているかもしれません。でもそれでいいんです。「女性をエンパワメントする」という私のコアに変わりはありませんから。
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構成=成相通子 イラストレーション=Willa Gebbie

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