フォーブス ジャパン編集部 エディター

シタテル代表取締役の河野秀和

ここ数年で一気に市民権を得た、“D2C”という言葉。既存のアパレルやメーカーだけでなく、個人でファッションブランドを立ち上げる動きも増えている。商品を販売しようと思ったら、「BASE」や「STORES.jp」といったネットショップ作成サービスがある。

その一方で、個人でブランドを立ち上げる際、課題に挙がるのが「工場探しの難しさ」だ。自分で作りたい衣服のアイデアはあるけど、生産を依頼できる工場がない。また、工場側も優れた技術は持っているにもかかわらず、自ら営業しないため、閑散期が続いてしまっている。

そうしたミスマッチを改善すべく、衣服つくりたい人と、全国の縫製工場をマッチングする衣服生産プラットフォーム「sitateru(シタテル)」を手がけるのがシタテルだ。同社は7月16日、既存株主のオプトベンチャーズ及び、クールジャパン機構から資金調達を実施したことを発表した。金額は非公表。

6月には、日鉄物産、HENNGE、丸井グループ、ヤギ、その他ファンド運営企業から資金調達を実施していたことを発表していたシタテル。これらはすべてシリーズCラウンドでの資金調達だという。これで同社の累計調達額は20億円となる。

今回の調達によって、シタテルは衣服の新たなサプライチェーンの構築、海外展開、人と組織への投資を推し進めていく。

シタテルが目指すは「開放型シンジゲート」とは?

シタテルの創業は2014年。同社は「ひと・しくみ・テクノロジー」をミッションに掲げ、「衣服をつくりたい」すべての人々に対して、インターネットによるコミュニケーションを通じて企画や生産インフラを提供し、工場・サプライヤーデータやユーザーデータの集積とシステム開発を進めてきた。2019年1月時点で、1万3000社のデザイナー・ブランドや企業、EC事業者などが登録・利用しているほか、国内を中心とした約700拠点の生産パートナーと提携している。

今回の調達によって、シタテル代表取締役の河野秀和は「リテールから原材料・生地などの調達、生産に至るまでのサプライチェーン一連のビジネスプロセスに関わる企業およびテクノロジーの知見を持つ企業との連携が実現した」とし、これを機に衣服の新たなサプライチェーンの構築に取り組んでいくという。

「新しいサプライチェーンはリテール(デジタルネイティブブランド・小売)からメディエター(商社)、サプライヤー(生地資材)、テクノロジー企業(SaaS・セキュリティ)と一緒に構築していく。そんなイメージを持っています」と語る河野。その具体について聞くと、彼は「開放型シンジゲート」という言葉を口にする。 

「これまでの『一部の事業者を主としてバーティカルに市場を独占しようとする』共同体などのイメージではなく『ひと・しくみ・テクノロジー』による新サプライチェーンの構築し、まずは占有された状態を開放していき、現在、そして未来において“圧倒的に使いやすいインフラにする”ことを主としています。

先んじて国内のブランドのデジタルネイティブブランド向けエコシステムとしての機能を果たし、未来に向けた最適な環境という全体最適なアプローチではなく新しい時代において、デジタルネイティブ世代に向けたオプティマル(最適)なサプライチェーンを構築していければ、と思っています」

文=新國翔大、写真=小田駿一

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