ビジネス

2019.07.14

音楽は思い出の距離も縮める。「ウォークマン40周年展」でソニーが紡いだ、人々の物語を巡る

WALKMAN IN THE PARK




ウォークマンの革新性


1979年7月1日、同じ場所でウォークマンは歩き出した。今の時代、多くの人がスマートフォンのアプリなどで時間や場所を問わず音楽を楽しんでいる。しかし、発売された当時、音楽は持ち歩くものではなく、家など固定された場所で聞くものだった。この持ち歩くという革新性が、ソニーのDNAである「遊び心」を表し、世界的に名を知らしめることにつながったのだと思う。

今回の「WALKMAN IN THE PARK」では、サカナクションの山口一郎氏を始めとする著名人40名のウォークマンの思い出とともに、当時聞いていた楽曲を、当時の機器で聞いたり、触ったりできる体験型のイベントだ。同イベントは40名40年分の音楽体験を体感できる「My Story, My Walkman」、歴代のウォークマン230台が並ぶ「Walkman Wall」の他、アーティストがカスタマイズしたウォークマンを展示する「Custom Walkman」、スポーツモデルの初号機「WM-F5」のビッグオブジェが展示されている。



また、期間限定オリジナルアイテム「WALKMAN IN THE PARK/ウォークマン40周年記念オリジナルTシャツ」、1日20食限定のトラヤカフェ・あんスタンドの「あんペーストかき氷」が販売されている。

ウォークマンが紡ぐ物語

「My Story, My Walkman」と銘打たれた展示会場を歩くと、さまざまな著名人のストーリーや懐かしいウォークマンが展示されていた。なかでも思わず高校生時代を想起させたのは、ラッパーのサイプレス上野氏のカセットテープに日本語ラップの音源を収録して、Mixをつくって仲間内でやり取りしていたという思い出だ。僕も高校時代、日本語ラップのみならず、パンク、ヒップホップ、アシッドジャズ、テクノ、ハウスとさまざまなジャンルの音楽を愛する友人たちと各自お薦めの音楽を詰め込んだテープを交換し、1時間半以上かかる通学時間には常にウォークマンで聞いていた。
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文、写真=本多カツヒロ

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