日本の空港は外国人にフレンドリーな対応ができていない?

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いよいよ来年に迫った「東京オリンピック・パラリンピック」開催に向け、新国立競技場をはじめ、さまざまな施設や設備が整えられようとしているなか、世界各国から観戦に訪れる多様な人々へのハードだけではなく、ソフトの面からの対応も必要とされている。

国内の自治体は、この機会に、会場周辺のみならず地方にも足を伸ばしてほしいと考え、地元の魅力を伝えるべくターゲットの国に対して各種のプロモーションを繰り広げている。しかし、必ずしもそれらが効果的なものであるとは思えない。

そもそも、東京から離れた地方への誘客のためには、まず、東京からの移動手段があるか? それが初めての旅行者にとってもわかりやすいか? 移動はスムーズにできるのか? といったことの答えが備わっていることが条件で、さらには、それらが海外に情報として明確に伝えられていることが必須である。

なぜなら、FIT(Foreign Independent Tour)と呼ばれる個人旅行者たちにとっては、重い荷物を抱え、さまざまな交通手段を乗り継ぎ、地方にたどり着くことは相当にハードルの高い行為だからだ。

しかし、さまざまな移動手段を乗り継ぎ、苦労しながら目的地にたどり着くのが好きだという個人旅行者も、欧米人を中心に稀に存在する。しかし、それらはいずれも、体力、知力などを兼ね備えた少数派の「旅好き」に限られる。

移動の「楽しさ」を伝える

私も、20代の頃は、長距離バスを利用し、友人と40日間ほどかけてアメリカを東から西へ横断する旅をしたことがある。いちおう女子大生だった私たちは、バックパッカーの格好では危険かもしれないという親の助言により、スーツケースをコロコロ転がしての旅だった。

今のような軽いものの無い時代なので、街から街へ、重いスーツケースを転がしながらの旅はある意味大変だったが、あの頃は微塵もそんなことを感じなかったのは、やはり若さゆえだとつくづく思う。

「移動は、日本を旅する醍醐味のひとつです。移動するなかで出会う、人や風景、匂いや言葉が変化していく状況は刺激的な体験です。時に、移動中の電車でのなかで出会える『駅弁・BENTO BOX』で味わう地域の郷土食も最高です!」

これは、世界で日本の地方をプロモーションする時に私が使う、移動の難しさを逆手にとり、魅力のひとつとして感じさせるための常套句だ。そうでもしないと日本の公共交通による移動は、まだまだ外国人にとって(そして時に日本人にとっても)わかりづらく、とても不便だからだ。
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文=古田菜穂子

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