外国暮らしで変化した価値観、子育て シアトル在住の浜中有美子氏に聞く

浜中有美子さん


──わかりますけど、ポジティブだなあ、と思いますね。 私なんかブレグジット(EU離脱)で超ブルーですけどね。

子どもがアメリカで育つことについてどう思いますか? 自分の子どもを見ると、「わあ、アメリカ人だ!」って思いますよね。 

 毎日思います。これは本人のキャラなのか環境がそうさせたのかわからないけど、マイノリティであることに全然臆せず、新しいところにポンと行っても人の空気を読まずに、のびのびと発言できている。うらやましいけど、私とは全然違うからそこはかなり悩みどころです。 

私が思ってる「ちゃんと」という感覚は、彼には当てはまらないし、説明しようとしても意外と難しい。自分が今まで育った中で持っているものを、いっぺんまっさらにしないといけない、と思わされる瞬間がいっぱいある。

日本人の自らの律し方や文化などが好きですが、それを彼に過剰に押し付けたくはない。でも、うちは私も夫も日本人だから、子どもは見た目は完全に日本人なんですよ。だから、日本人らしさが薄すぎるのは、それはそれで大変なのかなとか。

どこまで自分の持っているものを渡すのか、という問題は年々難しくなってきています。 

──子どもは子どもで自分とは異なる人間で、自分の世界をもって生きてるわけですし。 うちは3人育てていると日本人らしさに差が出るんですよ、面白いもので。それは要するにパパっ子なのかママっ子なのかで結構差が出ているんです。だから全然親からは押し付けられないと思いますよ。 

先ほどシアトルは体が喜ぶって言っていましたけど、同じようなことを人は多いですね。「ウェブ進化論」の著者で知られる経営コンサルタントの梅田望夫さんが、シリコンバレーに出張で行ったときに「あの青い空の下の気持ちのいい気候のなかで何か仕事がしたい」とブログに綴っていたのが印象的でした。 そういう「体の声」を大事にするのは大切だと思います。 
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文=クローデン葉子

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